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雑記002

もしも私がススキだったら、周りのススキと今日の天気とか、最近の月とかの話をして、自分の一部を遠くに飛ばして、いろんなものを見たりもして、自分はいつも風に揺れて、考えたい。それで夜毎遠くのススキに、小さい声で話しかける。秋には少し、金色になってみたりもする。

この言葉がふと頭に浮かんだのは、もう五年以上前のことで、わたしの純粋なところをきゅっと絞ってしたたった一滴だった。仕事(いま生計の要となっているこれを、わたしは「副業」と呼ぶことにした)に、生活に、趣味に、人づきあいに、時の流れが毎秒加速しているような現在も、わたしは相変わらずススキに憧れる。

秋めいてきたこのごろ、でもあっという間に冬が来る。心のススキは、いつだって、夜に溶けてしまいそうな柔らかい金色の光をぼうと纏って揺れている。ささやきよりも痛みよりも、ずっと小さく、常に、光っている。

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