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アセスメントと支援に不可欠な知識

(5,502文字/個人差はありますが、約9分~14分程で読めると思います)

前回のコラムでは「カタトニア」について取り上げたのですが、思いのほか反響も多く、それはそれだけ知られていないということでもあると感じています。カタトニアの併発自体は決して稀なものではなく、知識としては知っておく必要があるかもしれません。てんかんでも似たような症状が出ることはありますが、てんかんとカタトニアとの関連についてはまだクリアになっていない部分もあり、今後の研究によりその辺りが明らかになってくることもあるかもしれません。  

また、原因についても不明な部分はありますが、2009年に太田昌孝先生が書かれた「自閉症と緊張病(カタトニア)」(臨床精神医学)の中では、親しい人との離別、学校や職場でのプレッ シャーなどをあげておられます。いずれにせよ、ストレスというのは関係するだろうと思うので、何がストレスの要因になりやすいのかを知っておくことは大切だろうと思います。そのためには、特性やものごとの捉え方の違いなどを知っておくことが必要ですので、そうした点についてはまた皆さんとも一緒、ぼく自身勉強していきたいと思っています。

さて、今月は研修会が多く、そちらの準備でバタバタとしています。明日9月10日(日)にはTEACCHプログラム研究会東京支部さんで、「ASDのアセスメント~多様性のある人たちのより良い生活に向けて~」というテーマでお話をさせていただきます。リード文は以下のようになっていました。

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自閉症スペクトラムのアセスメントについて、本来の目的や考え方を改めて振り返り、先生の豊富な臨床経験から具体的な検査の内容や進め方、実際の支援計画にアセスメント結果をどのように反映させていくのか、午前中は講義、午後から動画を見ながら個人ワークで学んでいきます。
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どのくらいの方が検査に関心があったり、実際に実施されるかわかりませんが、ぼくは日常的に検査も実施させていただく立場ですので、検査についても触れながら、それ以外のアセスメント全般について皆さんと共有させていただく予定です。200名以上の方にお申込頂いていると伺っており、大変有難い限りです。後日配信もありますので、ご関心ある方は下記より詳細をご確認ください

今回は自分の頭の整理のために、明日話そうと思っていることの一部を書いていきたいと思っています。        

アセスメントには知識が必要

これは以前のコラム(どうしてアセスメントは難しいのか?)にも書いたことですが、より良いアセスメントをできるようになるためには、アセスメントに関する知識とその知識を使う場が必要です。   

たとえば、上述したようにぼくは心理検査や発達検査を取らせていただくことがあります。そうした時に、数字や結果以上に大事にしていることがあります。

結果や数字にあらわれないポイントを見逃さない

それは、数値に表れない特性を評価することでもあり、
それは、結果に反映されている特性を評価することでもあり、
それは、行動観察からわかる特性を評価するということでもあります。  

たとえば、数字上では言葉の理解力や表現力に不得手さはないように見えるかもしれませんが、同じ点数だとしても、端的に要点をまとめて説明できているのか、冗長に説明し結果として得点が得られているかでは、全く意味合いが違います。でも、こうしたことは数値には表れません。したがって、検査上で言葉に関する領域が良好だからといって、日常生活上でもコミュニケーションが良好とは限らないということです。 

こうしたことを観察したり、推測していくには、どんな視点を持って考えていくといいのか、「知識」を持っておくこと、その上で考えていくことが大切になってきます。

そして、検査でも、聞き取りでも、周囲からの情報収集でも、その中で何を得ることが大切かというと、一人一人の強み(秀でているとかではなくて、今できていること)や興味関心、ものごとの理解の仕方や特徴について情報を得ることです。

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