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Q&A:独り言への対応他

(6,375文字/個人差はありますが、約10分~16分程で読めると思います)
おはようございます。よこはま発達相談室の佐々木です。
さて、今日はクリスマスイブですね。昨日はそれにちなんで、「ASDとクリスマス」をテーマにVoicyとnoteをそれぞれ配信しました。基本原則は、クリスマスに限らずにこれからのお正月にも応用できるものだと思いますので、宜しければご視聴ください!  

▼ASDとクリスマス

ちなみに、Voicyもnoteも毎日更新していますので、それぞれフォロー等していただけると嬉しいです!  

今日は久しぶりに、オンラインゼミにご参加してくださっている方々から頂いたご質問にお返事していきます。 

Q1:独り言への対応

相談支援専門員です。特別支援学校に通う小学2年生のお子さんについてです。幼児期から独り言が多く、学校や放課後等デイサービスでもよく独り言を言っているそうで、もう少し静かにしてほしいと思うけれども、どうしたら良いかとご相談をお受けしました。それ自体はそのお子さんの特性でもあるのですが、どのように先生方と相談していくと良いでしょうか。何かポイントなどありますか?

まずは状況の整理から

ご質問ありがとうございます。ぼく自身も現場の方々からよくお受けする質問の一つです。まず説明することは、この独り言については、エコラリアと呼ばれるものであることを説明します(エコラリアについては、以前noteで解説しました。下記にURLを載せておきますので、必要であれば併せてご確認ください)。

▼エコラリアって?

その上で、「どのような時に独り言が目立つのか」を整理していきます。エコラリアも、24時間365日ずっと同じ程度と頻度であるわけではないでしょうから、どの場面で、どのくらい生じているのかを確認することが一つです。例えば、エコラリアが目立つのは、実は朝の会や帰りの会のように、自分自身が何をするのかが明確には決まっておらず、待ち時間の長い場面ということがわかってくるかもしれません。そして、自分がわかって取り組めている時間には、目立たないかもしれません。もしそうだとすれば、エコラリアがあるかどうか、それが目立つかどうかは本質的な問題ではありません。本質的な問題は「やることがよくわかっていない時間」「やることなどが、うまく伝わっていないこと」です。そのため、「静かにすることを求める」のではなくて、「こちらがすることは何か」を考えていくことが大切かなと思います。

周囲がすることを議論して 

今回に限ったことではありませんが、周囲が「なんとかしたい」とか「困った」という場面では、ご本人に何をしてもらうか、ご本人をどうするかという視点が先行しがちで、「支援者がすること」は議論されないことがあります。極端に言ってしまうと「本人に何を頑張ってもらうかだけが議論される」ということです。   

ぼくは、支援は「周囲が調整をすること」と「ご本人に取り組んでもらうこと」の両輪だと思っています。例えば、スケジュールひとつとってもそうです。ご本人に適したスケジュールを作成したり、支援ツールを用意したりなどは周囲がすることで、それらを活用するのはご本人がすることです。ですから、何らかの支援や調整を考える際には、「こちらがすること」も考えることが肝要です。

さて、話を戻します。今回「静かにしてほしい」とのことでした。そうした時に、もう一つ確認することは、「そもそも本当に介入することなのか?」です。例えば、独り言があったとしても、「本当にそれはそんなに気になるようなことなのか?」「周囲への影響が大きいのか?」ということです。

本当に介入した方がいいことなのか?

独り言があったとしても、周囲への影響は小さく、実際には気にするような程度でもなければ(つまり、支援者だけが気にしている)、そもそも介入する必要はないかもしれません。ぼくらの価値観から考えた時に、十分に理解できないからと言って、それだけでは介入する理由にはなりません。  

皆さんにも他の人とはやり方や習慣が違うことってあると思います。それを、周囲の当たり前は違うという理由だけで修正を求められたらどうでしょうか?

例えば、お酒の席では自由に好きなものを頼んでいいはずなのに、「お酒といえばビールでしょ」と主張する人がいて、その価値観に合わない飲み物(例えばレモンサワーとか)を頼んだら、「いやいや、ダメでしょ。ビールに変更ね」とか言われたら、「そんなのおかしい」と思いませんか?

自分の価値観に合わないからと言って、誰にも不都合が生じていないようなこちらの行動まで変えられるって、変なことなんです。ぼくからすると、不都合が生じていない独り言は、今のお酒の例と同じに感じます。

ですので、簡単にまとめると、

  • 独り言についての説明

  • どんな状況で、どのくらい生じているのか、客観的な事実を整理する

  • そもそも本当に気にするようなレベルなのか、周囲に影響がどの程度あるのかをもう一度考えてみる

  • その上で、介入するかどうかを決める

  • そして、その際には、「ご本人に求めることだけ」が先行していないかを考え、「こちらがすること」も考える

という感じでしょうか。参考になれば嬉しいです!

Q2:社会性と衝動性って?

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