根拠に基づく支援を
よこはま発達サポートルームの言語聴覚士の安藤です。
よこはま発達サポートルームでは、ご本人やご家族が安心して穏やかに過ごせるように、根拠(アセスメント)に基づく支援を大切に日々の支援に励んでおります。
本日は上記のケースについてスタッフ間で試行錯誤しながらセッションに取り組んだAくんについてご紹介いたします。
Aくんは幼稚園でハサミを使用した制作活動をきっかけにハサミに興味を持ち、ご自宅でもハサミを使用するようになりました。しかし、ハサミの持ち方については自己流になってしまう事が多く、なかなか上手く切ることができないため、保護者さんが正しい持ち方を伝えようとすると「やめて!」「○○くんがやるの!」と怒ってしまうようでした。
そのため、サポートルームではAくんの特徴を活かしながら、自信を持ってハサミを使用できる方法を検討いたしました。下記はAくんの特徴です。
①目でみて理解することが得意
耳(ことば)からの情報よりも、目でみて理解することが得意なAくん。そのため『ハサミの持ち方についてのイラスト』そして『ハサミにカラーテープを巻く』ことで、スタッフから指示されずとも、パッとみて理解できる設定としました。(写真1)
また、サポートルームでもハサミのアセスメントを行った際に、紙を持つ左手が不安定であることも分かりました。そのため、紙に赤丸印を付けることで、左手の所在を明確にする工夫を行いました。(写真2)
②情報量が多いと混乱してしまう
以前、サポートルームにて行っていたアセスメントにて『完成見本』よりも『1工程ずつ分かれているめくり式の手順書』の方が、どこに注目するべきか分かりやすく、Aくんが余裕を持って活動できることが分かっておりましたので、今回はアセスメントで得られていた根拠を基に、①で作成した『ハサミの持ち方についてのイラスト』を2枚に分けて説明することにしました。(写真3,4)*まだAくんは幼いため、残りの4本全ての指を入れることでより安定すると作業療法士の中山からご助言いただきました。
③声掛けにて介入をされることが苦手
①と②で行った視覚的な指示を用いて、事前に説明を行うことで声掛けによる介入を極力行わないようにしました。また、事前の説明が行われなかった場合と比べると、Aくんが納得して課題に取り組めるだけではなく、非常に落ち着いて取り組むことができていたため、課題を始める前の丁寧な説明を行うことを全スタッフそして保護者さんと共有いたしました。
①~③の工夫を行ったことで、途中で介入されることや、自己流でハサミを使用することで
上手く切ることができない、など、Aくんにとって不都合な状況が格段に減り「みて!」「できた!」とニコニコ笑顔が見られるようになりました。
今後も、アセスメントに基づく支援のなかで充実感や達成感、自己肯定感をたくさん感じていただけるような支援を大切にしていきます。
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