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和の風景 【ショートショート】幼馴染の高校デビューは線香花火を読んで


  この作品は、さりげなく実に日本を感じられる。
 純粋で、清く、淡く、誠実さ、潔さを感じられる。
 それは、何故か。
 大介が玲に言った一言で表現される。

 「高校も一緒だけどさ、これからは秋川って呼ぶから。
俺のことも名字で呼べよ。」

 良い意味での「気取った」、「かっこつけた」一言は、この作品のきもだ。

 私にも思い当たることがある。
「ああ、そう言えばお付き合いしている異性に対して、最初に下の名前を読んだとき何とも言えない感動したなあ。」
とか
「いつまでも、別れた相手の下の名前を呼んでいるなんて、なんて情けなく常識知らずの人だなあ。」

 元彼女が玲に大介と分かれたことを話した後、笑顔で立ち去っていく姿に何ら違和感を感じないのは、
玲に対する、
姓名に対する、
家に対する、
誠実な態度から来るものに他ならない。

 実に美しい作品だ。
 そしてこの作品には、守らなければいけない日本の心がある。

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