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「ストーリーは記憶に残る」という力を経営にどう活かすか?

私は1975年生まれ。ダウンタウン世代のど真ん中です。漫才、コント、フリートークの3分野で圧倒的な実力を持つ彼らは、未だに第一線で活躍していますね。

松本人志の功績には色々あります。特に、「トーク」のコンテンツ化への貢献は見逃せません。「すべらない話」を始めとした、○○な話は、いつ見ても面白くないですか?

この動画では、松本人志が10年以上前に見た、あるドキュメンタリー番組の話をしています。

ホームレスになり、空き家に勝手に住み始めた男性。その彼が心機一転、人生をやり直すために向かったのは、雪深い地方にある、母親の墓。その前に腰を下ろし、三味線の師匠だったという彼がバチを持つと・・・。

九九を覚えられず、そのままだという松本人志。そんな彼が、なぜ10年以上も前に見たドキュメンタリー番組のことを、これほど熱を持って語れるのか?

それは、ストーリーだから。
単純な情報よりも、ストーリーのほうが26倍記憶に残ると言われています。

比べてみてください。
学校の授業で習ったことと、学校で起こった友達との出来事。どちらが多く記憶に残っているでしょうか?出来事はストーリーになっているから、忘れないのです。

この、ストーリーの力をビジネスに活かすことができないでしょうか?
たとえば、経営理念にはまさにそれが当てはまると思います。

いきなりそれを社内に浸透させようと思うと、うまくいきません。社長にとって大切な思い入れがあっても、社員は別の捉え方をします。社員の見ている「現実」とつながっていない将来のことや、理想的な未来は、ストーリーにならないのです。

また、いくらストーリーでも、長すぎると記憶に残りません。三国志60巻。全部は思い出せない・・・。

私は、中小企業の「財務(会社がこれから、何にどれだけお金を使えるかと、そのお金をどう用意するかを考える)」のお手伝いをしています。

ご支援させていただく経営者さんには、必ず経営理念を確認しています。社長さんのゴールを確認し、それを実現するために「財務」の専門性を活用して、問題解決をするのが私の仕事だからです。

悲しいかな。社長さんからの返答で、一番多いのは、

「経営理念、ありますよ・・・・なんだっけ」

です。社長さんも覚えていない。

せっかく作った経営理念が埋もれてしまってはもったいない。そう思うと同時に、自分ごとのストーリーになっていない経営理念は、見直す必要があるのではないかと感じます。

社長さんにとっての「自分ごと」になっている理念。それはきっと、個人的な経験、業界に対する課題意識などと理念が繋がっているもの。そうであれば忘れることはないと思うのです。

そして、他人を巻き込む強いエネルギーを持つ。
まずは、そこからなのかなって。

その後、社員のひとりひとりの「自分ごと」になるよう、地道に努力を重ねていく。記憶させるというよりも、ストーリーとして、各個人の見ている現実や職業感と、うまくつながるようにしていきたいですね。

私は、2020年に一大決心をし、中小企業支援の世界へ足を踏み入れました。転職先に選んだのは会計事務所。決め手になったのは、たったひとつのフレーズです。

「中小企業に、経理はいらない」

中小企業マーケットと、税理士業界に知見の深い社長の「哲学」が詰まったフレーズです。DXが得意な事務所なので、それをフル活用して、少人数で経理実務を回す社会を作りたい、という決意です。

今まで、10社に10人の経理社員がいたとします。DXをうまく使えば、7人で済みます。その方がよくないですか?リストラの話をしているのではありません。みんな人が足りない、採用に苦戦をしている。ならば、少ない人数でできることは、誰かに任せましょう、という話です。その方が日本社会全体で見て、効率的な人員配置になると思います。

私は、これを見た瞬間、この会社に入ろうと思いました。
シンプルだけど、強く。ヒトコトだけど、たくさんを語る。一文だけのストーリー。こんな理念には、だんだん人がついていくのです。

短いほうがいい、ということではありません。ぜひ、あなたの会社が目指す社会を「ストーリー」で伝える経営理念で、採用でも、営業でも、相手から選ばれる会社になれるのでは?と考えてみてはいかがでしょうか?

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