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「知る人ぞ知る」は、「知られていない」ということです。(#アートとコピー 第1回に寄せて)

宣伝会議賞、シルバー受賞。

今日、2021年3月12日。
『第58回 宣伝会議賞』(日本最大級の公募広告賞で、コピーライターの登竜門的なアワード)の贈賞式。
僕は、《「知る人ぞ知る」は、「知られていない」ということです。》(社会情報大学院大学)というコピーで、シルバーを受賞した。
いま、その興奮が冷めやらない中でこのnoteを書いている。

シルバー以下は受賞コメントが無いと知らなかった僕は、1分以内に思いを凝縮し推敲し尽くした「喜びの言葉」をiPhoneのメモにまとめ上げていた。
読み上げるチャンスがやってこなかった僕のコメント内容は後に記すとして、なぜそんな準備万端勇み足で臨んだのか、まずは聞いてほしい。

#アートとコピー 2021という、実験的講義。

折しも、前週の3月6日は、阿部広太郎さんの宣伝会議コピーライター養成講座専門コース「#アートとコピー」の開講日。
20名のアート生と、20名のコピー生。総勢40人を一つの教室に集め、毎回異なるペアを組んで課題に取り組むという、実験的なコース。僕はコピー生の1人として、そこに参加していた。

第1回は、1人1分の自己紹介と、事前提出したポートフォリオへの講評。
40人のクラスだから、自己紹介だけでもけっこうな時間がかかる。
「や」ではじまる僕は、出席番号39番。こういうのを待つのには、いつまでたっても慣れない。
思い思いの自己紹介が続き、時に上がる笑いや感心の声を聞くうちに、自分の番はいつの間にか終わってしまっていた。
結婚と、子供がもうすぐ生まれることは話したが、あとは自分でも、何を話したかよく覚えていないのだから、きっと他の誰かの記憶にも残らなかっただろう。

「ポートフォリオを、『企画』したか?」
「自己紹介の意義を、問い直したか?」

続く阿部さんからのポートフォリオに対する講評。

「『ポートフォリオ』の意義を問い直して考えた人は、10名もいなかったんじゃないか。
あなたは、自分の広告をつくるつもりで、ポートフォリオをつくっているか。
「こういうもんでしょ?」そう思った瞬間に、失われるものがあると思うんです。

開口一番伝えられた言葉に僕はショックを受け、あとの講義は悄然と座り込んでいた。直前の「自己紹介」を、まさにそんな気分で「やりすごそう」としていた自分の気持ちを、嫌というほど思い知らされたからだ。

最初から「強くてニューゲーム」するために。

お互いのポートフォリオの熟読と、自己紹介の応酬を経て、否応なく興味の湧いた相手や、只者ではない雰囲気を醸し出している人たちが、すでに何名もいる。
阿部さんはその人たちのことを「最初から『強くてニューゲーム』」と表現していたけれど、講義第1回の時点で印象にこれだけの差がつくことに、随分凹まされた。
「自己紹介」も、「コメント」も、それを聞く人に自分を印象づけ、記憶に残すための戦略だ。
38年間自己紹介をし続けてきて、ようやくこの時気がついた。
「次に何か人前で話すときには、お茶を濁すようなコメントでなく、自分なりに人の記憶に残る方法を考えて臨もう」
そう思って、教室を後にしたのだった。

自分は、このコピーにどんな思いを込めていたのか。

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そんなわけで(今度は名前順は関係ないが)すぐ巡ってきた、人前でコメントをするチャンス。
自分が呼ばれるかもわからないうちから、「する場合」のシミュレーションに、綿密に取り組んできたわけなのだった。

前述の通りこのコメントを式の場で披露することはなかったが、せっかくなのでこの記念すべき自分の初noteに記したいと思う(強引だけど #アートとコピー の学びを生かして、ということで。SKATにも同様のコメントが載るかもしれません)

こういう時って、不思議と過去に自分の書いていたコピーが、いまの自分を励ましたりするものなのだ。

ありがとうございます。
この度「社会情報大学院大学」という、広報・PRの学びを推進される協賛企業の課題で受賞の機会を得られたことは、PRを用いたプランニングを得意とするプランナーを生業としてきた私にとって、特別な感慨があります。

「言わぬが花」というように、日本人は「知られること」に謙虚であることを美徳としてきました。
ですが、虚々実々のいまの世の中。
知られるべきことが知られることで、もっと多くの誰かを救ったり、幸せにできるかもしれません。

より多くの日本の経営者やビジネスパーソンが広報・PRに真剣に取り組み、もっと知られることに対して前向きになること
皆が持つポテンシャルを引き出すことが、
社会を良い方向に進ませると、信じています。

社会情報大学院大学様。
御社の事業を、
一コピーライターとして。
一PRパーソンとして。
そして、この社会の一員として。
心より応援申し上げております。

この度は誠におめでとうございます。
有難うございました。

要するにこのコピーは、自分自身のことだった。
僕は、「知る人ぞ知る」で、終わりたくなかったのだ。

「知られる」ことに、向き合おう。

「アートとコピー」第1回目の講義から、受講者一人ひとりから、同じ思いを持った叫びが聞こえてくる気がする。
僕は、その叫びを全力で肯定したいと思う。
あざとくても、したたかでも、もっとたくさんのチャンスをつかめるように。

初noteにつき、乱筆乱文失礼しました。
これから8ヶ月間、皆さまよろしくお願いします。
(なんかこう書くと怖そうだけど、みんなめちゃ素敵なので仲良くなれるのが楽しみです!)

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