3月生まれ

旅とビールとネコが好きな拝金主義者です。

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最近の記事

希求の行き先

有給休暇で、善光寺詣りをした。 「牛に牽かれて善光寺詣り」の、あの善光寺だ。 信州自体は両親が気に入っているのでしばしば蓼科や松本を訪れていたが、長野市は県庁所在地でありながら意外と意外と行った記憶がない。高速道路で通り過ぎてしまうだけだった。 8月中に有給休暇をいくらか消費してしまいたくて、どこか涼しいところに行きたいと思い立ち飛行機を予約した。大阪から、夏の間だけ松本行きの便が運航している。 実際に到着してみると期待したような涼しさはなく、大阪の刺すような暑さがほんのり

    • 線を引き直し続ける

      大阪駅前の旧大阪郵便局跡地に開業したKITTE大阪が、大変な賑わいである。職場が近いのでランチなどに利用できるかと期待していたが、人が多すぎて近づくことも躊躇われ、結局馴染みのある堂島地下街や大阪駅前第Nビルに流れてしまう。 長年空き地だったところに、基礎工事が始まるや否や一気に巨大なビルが育ち、聳えてしまった。また少し狭くなった梅田の空に、人間の営みが高く高く突き上げている姿には圧倒される。 このところ、自分の在り方を少しずつ見直している。先日アナログの絵を描き始めたこと

      • 道の先に待つもの

        自分はあんまり本を読まない人間だと思っいたが、探し物があって書斎に入てみると積読状態だと思っていた本は意外とちゃんと目を通していた。考えてみれば、本を購入したら一階で読んで、やおら二階の書斎に持っていく動線になっている。つまり、二階にある本は基本的に目を通している。 圧倒的に講談社学術文庫の書籍が多い。知りたいことを網羅してくれている。近年はシルクロードや中央アジア、イスラム圏への関心が高まり、関連書籍が増えている。 その中でも、一番読み返したのはこれ。シルクロードを専門と

        • 立秋を過ぎて

          パリ五輪真っ盛りである。夏の選抜高校野球も始まった。 毎日熱中症アラートが発令されているが、夜の風は少し涼しくなったように思う。 7月以来、在宅時はつけっぱなしだった冷房を止めて、窓を開けてみた。湿度も低く、良い風が入ってくる。少し汗ばみはするが、冷房疲れした身体が少しホッとしたようだ。永遠に続くかと思えた夏も、勢力が和らいできたのかもしれない。 世間ではお盆休み期間に入り、弊社も同僚たちが次々と休みに入っている。7-8月の夏季休暇取得期間に、任意のタイミングで3日間付与

        希求の行き先

          手から生まれる

          今の本職はデータドカタであるが、仕事でしばしば文章やら絵やらを描く。副業ではなく、これも業務の一環だ。社内で、結構いろんな仕事をしている。 昨今では絵を描く際にタブレットを使うが、先日「ここに描いて」と厚紙を渡されたので、久しぶりに手書きした。油性ボールペンの線描にコピックで彩色すると、ちょっと滲んでしまった線も色むらも、味わいがあって良い。何より、色を選んで枠内にドロップすれば一発で塗れていた色を、一筆づつ塗る感じが懐かしかった。 もうちょっと、手で描く機会を作ろう。

          手から生まれる

          なんでもないある夏の有給休暇

          本当は有給休暇だったけれど、結局仕事が少し残って午前中だけ在宅勤務をした。午後から晴れて有給休暇。さて、何をしよう。 平日何をしてもいい日は、土日祝休みの完全週休二日制企業に勤務する社畜にはあまりない。時折取得する有給休暇は、旅行など用事を入れてしまうので結局タスクがある。けれど今日は、有給休暇を取得するための日なので、予定は特に入れていなかった。 こういう日には、平日じゃなければできないことをしたい。普段の残業後だと閉店してしまっているショップでお買い物をするとか…昼ビー

          なんでもないある夏の有給休暇

          夏のポルトガル

          今年の夏休みは、7月前半という早めに取得してポルトガルに行ってきた。去年も同時期に、イギリス・ドイツに行っている。夏のヨーロッパはやはり、湿度が低くて日差しも明るくて良い。 ポルトガルは、まだ十代の頃、ソ連があった時代にトランジットでリスボンに立ち寄っただけだ。暑くて坂の多い港町のイメージが残っていたが、実際は港町ではなく海に注ぐ大きな川の河口域で、坂が多いのはそのままだった。 今回は、南北に長いポルトガルのポルトから入国して一週間の半分を過ごし、その後鉄道でリスボンに南

          夏のポルトガル

          旅と耳

          テーマ#買って良かったもので投稿してみる。 今年前半は人生初の部署異動で、忙しくて購買意欲もなくただ仕事に追われていたが、年末も近づきようやく生活を見直す余裕が出てきた。旅行にもちょこちょこ行けている。3年ぶりの海外旅行も計画した。 そんな中で出会ったのが、これ。AppleのAirPods Pro(第二世代)だ。 この手の製品のクオリティにあまり興味を持っていなかったので、1万円未満の骨伝導タイプとワイヤレスのカナルタイプをほとんど使わない状態で保持していた(骨伝導イヤホ

          再起動

          ものすごく久しぶりに、海外旅行の計画をしている。 この10年ほどは、シルクロードを繋ぐようにして日本から中国の西安へ、ウイグル自治区から始まる中央アジア、イラン、そして最終的に全ての道が通じるローマには2019年の大晦日に訪れた。ローマで新年を迎え、サン・ピエトロ大聖堂で新年のミサに与り、それが現時点で私の最後の海外旅行だ。シルクロード上の各所スポット旅行であるため中抜けが多く、次は間を埋める旅をしたいと考えていたところに新型コロナのパンデミックが始まった。 とはいえ、2

          逃げるは恥だが役に立つ遊牧騎馬民族

          先週は、「逃げるは恥だが役に立つ婚」で世間がざわついていた。このご時世にめでたい話は巷を明るくするので、大変良いニュースだ。 そして、家に帰ったらガッキーがいる生活って、前世でどんな功徳を積んだら叶えられることなんだろう… ところで、この「逃げるは恥だが役に立つ」というタイトルについて、ドラマは観ていなかったものの、放映当初からちょっと意味が取りづらい不思議な言葉だなと思っていた。 マジャール人(いまのハンガリー人)のことわざらしいが、「逃げる」と「役に立つ」の連続性がわか

          逃げるは恥だが役に立つ遊牧騎馬民族

          あなたに会えて

          昨日、祖父が亡くなった。 99歳の大往生だ。遺族としては、悲しいというよりお疲れ様と言ったところだ。惜しむらくはあと3ヶ月余りで100歳だったのだが、そんなちょっと惜しいところもらしいといえばらしい。何か大きなことをやり遂げるわけではない、でも人よりちょっと幸運だったり丈夫だったり、長生きだったりした。 3年前に長年連れ添った妻であるところの祖母に先立たれ、その時すでに認知症が進んでいたが、やはり寂しいと口にしていた。性格のキツイ祖母だったので二人はいつも喧嘩しているように

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          音の少ない世界

          子供の頃に楽器をやっていて、中学生で辞めたもののその後も音楽はずっと身近にあった。歌をうたうことは好きだったし、近年では地域のクラシック音楽を専らとする合唱団に所属して毎年オーケストラと共演していた。流行りの音楽は聴かなくなっても、クラシック音楽はずっと聴いていた。 春の在宅勤務中、音楽を流しながら仕事しようかと試みたことがあったが、自分は音があると気を取られて集中できないタイプの人間であることをようやく自覚した。そういえば、友人たちはラジオを聴きながら勉強していたなどと言

          音の少ない世界

          あるめんどくせーばーちゃんの話

          先日、阪神電車の改札付近の地下道で、白い杖をついたばーちゃんが歩きづらそうにしていたから、 「どちらかまでご案内しましょうか?」 って声かけたんだけど、 「たのんます!」って被せ気味に言ってガシって私の腕掴んだ。 「ドーチカ行きたいねん」て。 逆方向だし、ちょっと離れてるけど、まあいいかとドーチカ方面に歩いて行きがてら、「ドーチカのどこ行きたいの?」って聞いたら、「どんつき、杵屋の方」って。 流石にそこまで行けないかなぁ(1キロくらいある)と思って「じゃぁドーチカの入り口ま

          あるめんどくせーばーちゃんの話

          差し伸べられるたくさんの手、掴む手。

          国内線国際線問わず、飛行機で中国系の人と乗り合わせる機会が多い。年末年始にミュンヘンとローマに行ったが、いずれも欧州への往復はエアチャイナ(中国国際航空)だった。なにせ安いのだ。そして、就航都市が多い。また、今回乗ってみてわかったが、機体も機内も最新型ですこぶる快適だった。機内食が大抵、よくわからない味の肉と野菜の餡かけみたいなものがかかったごはんなのにうんざりするが、短距離ならベジミールやフルーツミールにしてしまえばいいことも最近学んだ。 中華系航空会社のイメージとして、

          差し伸べられるたくさんの手、掴む手。

          イラン旅① めくるめく宇宙を私物化

          海の日の三連休に有給休暇をつけて、イランに行ってきた。年末年始にイランツアーに行って、大変気に入ってしまい再訪したのだ。 年末年始の長い休みにはここぞという旅先を選ぶので、いつも「いつかもう一度訪れたい」と思うのだが、マジでもう一度訪れたのはイランが初めてだ。イランは、世界史選択だった私にはペルシャ帝国という圧倒的な歴史的魅力があったし、人々は驚くほど親切で、チーズやハーブがふんだんに使われた食事も意外なほど口に合い、建造物や美術品の美しさに目を奪われた。ツアーでは行程の都

          イラン旅① めくるめく宇宙を私物化

          そこに道はあるから

          奈良県十津川村の玉置神社というところに行ってきた。同世代の同僚女子に誘われたのだ。 十津川は温泉に行くために年に数回程度訪れる場所で、これまでも道路標示などでその神社の存在は知っていたが、とくに興味を持ったことはなかった。ただ、「来る人を選ぶ」「呼ばれた人しか行けない」という話を見聞きしたことがあり、せっかく誘われたのでどういうことか見てみようと訪れることになった。 十津川村を縦断する国道168号線から林道のような道に入り約30分。結構な急勾配を上っていく。私の車はMT車

          そこに道はあるから