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こおり

変なやつに出会ってしまった。不思議な初めての夜だった。人から求められることが通貨のこの世界で、求め合わない幸せを君は私に教えた。
深夜1時過ぎにフラッと入ったさびれかけたラブホテルのベッドの上で私は1人誰にも言えない思いを抱えながらなぜか泣きそうであった。
身体と身体を重ねることはなく、フレンチキスであなたは幸せそうにおやすみと言った。すっかり拍子抜けして自分のペースも自信も失った私は優しいあなたの気持ちを棘だらけのこころで寄り添って勝手に壊した。そう言う女なの。

女は大切にされたい生き物でありながらそれとほぼ同時に誰かにひどく壊されたいとも思っている。
あなたは優しさと優しさの塊で私を守り、壊した。
あなたは私を抱かないし、あなたのものにはしてくれない。

あくまでも選択権は私にあるようにすることで、重要な決め手をくれない。

氷の様な男だった。

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