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雑記 45 九月

    九月
      山口佳紀

九月
糊のきいたハンカチ

垣根の木槿(むくげ)を濡らす
白い雨脚

神社の杜で
朝から鳴いている蜩(ひぐらし)

穂に出た芒(のぎ)の上に
流れている鰯雲

九月
滑らかな白磁の肌

放浪をやめて
戻って来た心

鉛筆の芯のように
ほっそりと匂っている秋

   (産経新聞「朝の詩」1992.9.1)

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