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「自己肯定感、下げるのやめてくれない?」

先日ムスメに言われた言葉です。その時注意が重なったのは確かですが、自己肯定感を下げるようなものではありませんでした。つまり、ムスメは過敏すぎ。ちまた流行はやりの繊細せんさい過ぎる人(Highly Sensitive Person)で、必要のないことで自己肯定感を下げてしまう人だったのです。

注意された行動を直せばいい   

「ただいまあ」仕事から帰ってくると、制服姿のムスメが洗面所へ慌てて入っていきました。「今帰ったの?」と聞くと10分くらい前に帰ったと言うのです。

コロナが流行して、もうすぐ2年。いい加減守ってもらわないと困ります。昔からムスメは帰ってくると疲れてそのまま自分の部屋で時間を忘れてしまうのですが、コロナ禍になっても帰ってすぐの手洗いが習慣化されていませんでした。

何度言ってもやらないということは、本人にやらなければいけないという意識がまだ浸透していないということです。

過去にモトオが持ち込んだウィルスでインフルエンザに掛かったことのある私は、二度と同じ目に遭いたくないので強く注意しました。

「ねえ、帰ってすぐ手を洗うのは今どき当たり前でしょ? すぐ洗ってもらわないと困るよ。 面倒でもこっちに来る前に洗って! 今、減少してるからって油断しちゃいけないことは知ってるよね?」 

素直に「はーい」と言って気をつけてくれればよかったのですが、ムスメにはそれが難しいのでした。注意されたことで、怒った顔をしているので、説明が必要でした。

「注意されて不機嫌になってて、おかしいよ。 注意したママが悪いみたいな顔してるんだけど。 すぐに洗わない方が悪いんだよね? それは分かる? ずっと言ってるけど、手を洗わないってことはコロナに感染する可能性が高くなるってことだからね。 これからは、カバンを廊下に置いて、洗ってからこっちに来て! 守ってもらわないとほんとに困るのよ!」

「ご・・ん」と、ふてくされたように言うムスメ。
『め』を強く言う独特の発音と不機嫌な表情のせいで、反省しているようには思えないので、「偉そうに言ってますけど」と言うと、

「言ってません。 さっきから、ごめんなさいって言ってるじゃん!」と言い返してくる。

「ほら、おかしい。 それが偉そうなんだよ。 『さっきから』って言ってるけど、今初めて謝ったんだよね? 『言ってるじゃん』っていうのも言い返してて、反省してる人が使う言葉じゃないっていつも言ってるよね?」

こんな繰り返しをして、最終的に彼女は正しい「ごめんなさい」を言うことができましたが、いちいち逆ギレされると、私もついつい強い調子で怒ってしまうのでした。

こう言う時は、物理的に距離を置くのが一番ですが、この時は、そんな小さな事がたまたま続いてしまったのです。

一緒に暮らす上での、必要事項や思いやりからの他愛もないやりとりでしたが、彼女は注意されることに対して全く違った捉え方をしていたのでした。

素直にしないと自分が損をする仕組み 

気を取り直して、おやつを出そうと皿を出すと、洗い残しの汚れがついていました。ムスメがしばらく前から洗い物担当をしており、これもすぐに洗わず長時間放置するので彼女の仕業と考えられました。

「あー汚れがついてる。ちゃんと洗えてないよ」と言うと、「それは洗っても取れない汚れだった」と即言い訳をするので、爪で引っ掻いて取って見せると、今度は「それは私が洗った皿じゃない」と言い出す始末です。

素直に「取れてなかった? ごめんね」と言えば済むものを「ママだってよくやるじゃん」と言い返してくるのですから損な性格です。

食べた後すぐに洗わないと、食器の汚れは落ちにくくなるのは当然なので、いつもすぐに洗っていないことを言われてしまう訳ですが、初めに素直に認めていれば、言われなくて済んだということが、なかなか分からないのでした。

ムスメの傾向に合わせて話し方を変える必要があると思っていますが、大体余裕のない時なので課題だと思っています。

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トドメ?

やっとおやつ、となった時、ムスメのメモ用紙が、山積みの新聞紙と一緒に無造作に置いてあるのが目に入りました。大切なメモのはずで、何日も前から言っているのに片付けていませんでした。

「これ大事なんでしょ? なんですぐしまわないの。 メモだとなくすからノートか何かに書いておいた方がいいと思うよ」と言うと、

「これ以上、私の自己肯定感 下げるの止めてくれない?」と言うのです。

どれも生活上のやりとりだと思っていた私は呆気に取られました。注意されたことを直せば、丸く収まることばかりです。こんなことでいちいち自己肯定感を下げられては堪りません。

人からの注意をすべて大袈裟に捉え、ダメと言われると、自分を否定されたとか、攻撃されたと捉えてしまうのは、ASD特有の脳の誤作動と言えるでしょう。

こういう時は、『行動』と『自身』を切り離して考えると良いと昔学んだので、その方法で説明しました。

私は、ムスメの間違った『行動』に対して注意しただけなので、その間違った『行動』を修正すれば良いだけです。ムスメ自身にダメ出しを出しているわけではないことを伝えました。正すべきは行動で、注意されたら、素直に直す努力をすれば良いと言うと、ムスメも分かってくれたようでした。

お茶で一息のはずが、大討論会となり、疲れ果てましたが、それでもちょっと前までは、こういうことすら話しが通らなかったので、ちょっとずつでも進歩してるんだなあと思うのでした。

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長く疲れるエピソードを読んで頂き、ありがとうございます。こういう記事は、読まれた方が読んで疲れないか心配です。うちのこんな話に興味がある人がいるかしらと時々不安になりますが、スキに励まされています。改めて、感謝致します。

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