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移動映画館を通じて子どもの将来の夢を広げるお話

こんにちは、やわデザnote編集部兼「目的地は鬼ヶ島」制作チームの ひろきょんです。

以下の記事でご紹介したとおり、富士通グループ横断「やわデザ」コミュニティを舞台に新しいイベント「目的地は鬼ヶ島」を開催しています。

「目的地は鬼ヶ島」は、「社会課題」についてみんなで交流しながら理解を深める、全9回の社内イベントです。

本記事では、最終シリーズとなる「世界も未来も変えられる編」の第2話(7月22日開催)についてレポートします。最終シリーズの計3回は、実験的にライブ配信範囲を広げ、ご招待したいくつかの企業のみなさんと一緒に「鬼ヶ島」に行きます。

イベントの雰囲気を実際に感じてみたい方は、以下の動画をご視聴ください(40min)。

映画の力で、子どもたちが夢を持ち、人生を切り拓ける世界を作る

今回の桃太郎(ゲスト)は、NPO法人World Theater Project教来石 小織(きょうらいせき さおり)さん です。

教来石さんは、途上国の学校や村の広場に即席の映画館をつくり、子どもたちに映画を届ける活動をしています。

みなさんは、子供の頃にどんな夢を持っていましたか?

教来石さんは子どもの頃、映画好きな母親の影響で日常生活の中に「映画」が当たり前にあったそうです。そして、映画を観るたびに、弁護士や警察官など作品に登場する職業に憧れ、将来の夢も膨らんでいました。

小学6年生の時、教来石さんは「たくさんの夢を与えてくれる映画の魅力」に気づき、映画について学ぶ大学に進学します。しかし、教来石さんは団体行動がとても苦手で、団体行動を避けるために、一人でドキュメンタリー映画を撮影しよう試みます。ところが、撮影のために訪れたケニアの村で、人生に大きく影響を与える体験をすることになります。

ビデオカメラを回しながら、村の子どもたちに「将来の夢は?」と聞いたところ、教来石さんが想像していたような答えが返ってきませんでした。「どうしてだろう?」と不思議に思った教来石さんは、「もしかすると村にテレビや映画館がないから、子どもたちは夢を言葉にできないのではないか?」と気づきます。そして、「もし村に映画館があったら、子どもたちはどんな夢を思い描くのだろう?」「いつか途上国に映画館をつくりたい」と考えるようになりました。

その一方で、大学での経験を通じて、「自分は映画監督には向かない」と考えた教来石さんは、卒業後、映画の道をあきらめ別の道を歩み始めます。

それから十年後、すべてが思い通りいかず、人生のどん底をさまよっている時に「本当は何をしたかったんだろう?」と自問自答するうちに、忘れていた想いがフッと頭に浮かんだそうです。

(まずは日本から近い途上国として)カンボジアの子どもたちに映画を届けたい」

その思いを周囲の人に話しているうちに、応援してくれる人が現れ、当初は下見のつもりだったカンボジア旅行で、なんと初上映を実現することになったのです。

夢にまでみていた途上国での映画上映を実現し、目をキラキラ輝かせてスクリーンに釘付けになっている子どもたちの顔を見た瞬間、「この活動を一生続けていこう」と決心したそうです。

映画を観て、感情があふれだす子どもたち(右下)

帰国後、教来石さんは「World Theater Project」という団体を立ち上げ活動をスタートします。途上国で映画を上映するには権利問題などをクリアする必要がありますが、奇跡の出会いが訪れます。

まず最初は、(途上国の)子ども向けの作品を探す中で、アンパンマンの原作者として知られる やなせたかし さん原作のアニメ「ハルのふえ」に出会います。途上国の子どもの多くは字幕が読めないため、カンボジア語(クメール語)の吹替版を準備して上映したそうですが、字幕版の約3倍の費用がかかることが分かり、他の国への展開には課題を残しました。

次に、俳優・監督として活動する斎藤 工(たくみ)さんが、教来石さんの取り組みに共感し、(吹替版制作の問題に対して)「言葉のない子どもたちのための映画をつくりませんか」と提案してくれたそうです。その後、クラウドファンディングなどを活用して完成した8分間のクレイアニメは、初の自主制作映画として、吹替版を制作することなく世界中のどの国でも上映することができるようになりました。

運転手のヤマカワが、おとぎ話「桃太郎」を例えに教来石さんにとっての「鬼(一番大きな困難や課題)」を尋ねたところ、「子どもたちの可能性を狭める考えや状況」とコメントされました。

また、教来石さんにとっての「イヌ、サル、キジ(大切にしているもの)」を尋ねると、「映画の力を信じること(映画には人のマインドセットを変える力がある)、仲間と一緒なら困難を乗り越えられること」という答えが。

団体行動がとても苦手だと話していた教来石さんは、今では「チーム(仲間)はいいな」と思っているそうです。

現在は、新型コロナウイルスの蔓延によって団体の活動は休止中ですが、今年の9月からはパワーアップして、上映を再開する予定とのこと。

団体のビジョンは「生まれ育った環境に関係なく、子どもたちが夢を持ち、人生を切り拓ける世界を作る」です。現在、子どもたちに映画を贈ってくださるギフトシネマ会員の募集を行っています。少しでも関わりたいと思った方はぜひ応援してみてはいかがでしょうか?

イベントを視聴した社員の反応は?

当日は富士通グループの社員を含む約180人が視聴してくれました。イベント中に、投票サービス「slido」に寄せられた感想やコメントをいくつかご紹介します。

視聴した方の感想やコメント

第3話(最終回)へ続く

「目的地は鬼ヶ島、面白い!」と思った方はぜひ、「世界も未来も変えられる編」の第3話「テロリストだった若者たちと共に世界を変えていくお話」の開催レポートもぜひお楽しみに!

「このイベント面白くてためになる!」と思った方は、「スキ」をクリックしたり、本noteをフォローしてください。

今回の桃太郎さん(ゲスト)プロフィール
教来石 小織 さん
NPO法人World Theater Project代表。1981年生まれ。日本大学芸術学部映画学科卒業。派遣の事務員をしていた2012年、「途上国の子ども達に映画を届けたい」と思い立ち、カンボジアの子どもたちへの移動映画館活動を開始。その後、団体として世界15カ国、延べ8万人の子ども達に映画を届ける。
https://worldtheater-pj.net/

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