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前例のないオンライン社内イベントはどのようにして生まれたか?【前編】

こんにちは、やわデザnote編集部のマサです。

以下の記事でご紹介した、もう一つの「やわデザ」である「やわらか社会をデザインしよう!」コミュニティのコンセプトは、「大人の社会見学」。みんなで社会をよりよくするための実験・実践コミュニティです。

そこで、私が所属するデザインセンター主催で、これまでにない新しい社内イベントを企画することになりました。その名も「目的地は鬼ヶ島」です。

本記事では、このちょっとヘンなタイトルのイベントがどのように誕生したのかをご紹介します。

「目的地は鬼ヶ島」とは?

プロジェクト「目的地は鬼ヶ島」を一言でいえば、「社会課題」についてみんなで楽しみながら学び、理解を深める連続イベントです。

一般的に、社会課題をテーマにしたイベントに対するイメージは、「真面目」「難しそう」「堅そう」「意識高い系の集まり」といったものではないでしょうか。

これまでは、社会課題をテーマにした社内のイベントに参加する対象者は限られていました。従来のやり方では、これまでそういったイベントに参加してこなかった層にアプローチできない課題があると、常々感じていました。

それならば、これまでの社内イベントのイメージを塗り替えることで、「社会課題」に興味があるなしに関わらず、参加したくなるイベントを企画できるのではと考えました。アプローチのポイントは以下の3つ。

・「バラエティー番組」のような演出(参加の敷居を下げる)
みんなで楽しめる場づくり(社員同士の交流もできる)
・ランチ&ディナータイムでの開催
(気軽に参加できる)

試行錯誤の末に生まれたのが、「目的地は鬼ヶ島」プロジェクトです。

「社会課題」に「笑い」をプラスする

今回のプロジェクトでは、難しいことは抜きにしてとにかく「なんだか面白そう」「みんなが参加するなら私も参加したい」と思ってくれる社員が一人でも増えるようなイベントにしたいと考えていました。

そこで参考にしたのが、テレビのバラエティー番組です。毎回違うゲストでも、番組自体が面白いとつい見てしまうことってありますよね。

ある時、かねてから知り合いだった、俳優でありながら桃太郎研究家としても活躍されているエンターティナーの 神木 優さんのことが頭に浮かびました。神木さんは、桃太郎を題材としたコントや、桃太郎の話をからめたビジネス書を執筆するなど、面白い活動を行っています。

そこで、

社会課題=鬼、鬼ヶ島
社会起業家=桃太郎

と見立てることで、社会起業家のお話を「桃太郎」の物語にからめた、前例のないイベントをつくれるのではと考えました。

ある調査によると、おとぎ話「桃太郎」は子どもに語り継ぎたい童話や昔話でダントツのNo.1だそうで、日本人の誰もが知る「挑戦の物語」と言えるでしょう。

こうして、

「社会起業家」×「桃太郎」×「笑い」

という3つが掛け合わさった、全く新しいコンセプトのイベントが誕生することになったのです。

まったくの偶然ですが、「桃(太郎)」ということで、コミュニティカラーのピンク色ともマッチします。

今回の社内イベントをきっかけに、様々な「社会課題」に触れ、興味を持つ人が増えてくれると嬉しいです。

タクシーの車内を舞台にする

「社会起業家」×「桃太郎」×「笑い」というイベントのコンセプトは決まりました。しかし、どうすればバラエティー番組のようなイベントに仕立てることができるかが、想像以上に難題でした。

今回のイベントは、前述のように従来の社内イベントの常識をある意味否定するような企画を考えていました。そんなある時、ふと「移動しながら」というヒントが浮かびました。

バラエティー番組などで、車を運転しながらゲストと会話している車内カメラの映像を見たことはありませんか?

「車の中」という切り口をきっかけにあれこれ考えた結果、桃太郎マニアの癖の強いタクシー運転手(MC役)がゲスト(乗客)の話を聴く、というアイデアにたどり着きました。

タクシーといっても本物のタクシーを使うわけではありません。オンラインで視聴する画面を見たときに、以下のようにまるで「タクシーの中で行われている」と思わせることができればよいわけです。

視聴者画面のデザイン(Zoom配信を想定)

タクシーの社内を舞台にするのであれば、運転手とゲスト(乗客)の他にもう一人乗客がいた方が、画面レイアウト的にも様になると考え、ゲストのお友達役を登場させることにしました。

この役は、本プロジェクトの企画パートナーとしても参画していた NPO法人ハナラボ代表の 角 めぐみさんにお願いしました。

ド派手なピンク色の近未来風タクシーが誕生

今回イラストをお願いしている もりい くすお さんから、漫画「ドラゴンボール」の作者としても有名な鳥山 明さんの漫画に出てくるような見た目のタクシーにしてはどうか、と提案がありました。

誰も想定していなかった提案に対して、会議に出席していたメンバー全員が賛成。

試行錯誤して生まれたのが、ド派手なピンク色の近未来タクシーです。「桃」をモチーフにした車体にすることで、架空の会社「どんぶらこタクシー」が運営しているという設定に発展しました。

どんぶらこタクシー

現代の社会課題といえば、世界の共通目標である「SDGs(エス・ディー・ジーズ)」です。水・陸・空に対応し世界中どこでも行ける「どんぶらこタクシー」は、「SDGs」に取り組む桃太郎(社会起業家)が乗るのにふさわしいデザインだと思いませんか?(笑)

このタクシーのデザインがきっかけとなり、「申し込みボタンをタクシーチケット風にする」という遊び心を持たせた演出も生まれました。

申し込みページへのリンクを「タクシーチケット」風にデザイン

誰も見たことのない「シン・モモタロウ」

「目的地は鬼ヶ島」のイベントは、以下のように始まります。

 私の名前はヤマカワ。長年「どんぶらこタクシー」の運転手を務めている。私の趣味はお客様の生き様を聴くこと。
お客様はみーんな桃太郎。世の中や困った人々のために動き働き、生きている。このタクシーには毎日多種多様な桃太郎さんが乗ってくる。
果たして今日はどんな桃太郎さんに出会い、どんな物語が聴けるのか。楽しみで仕方がない。お、あそこにお客さんが。

桃太郎の物語と私たちの住む世界が混ざり合いながらイベントは進んでいきます。

イベントは全9回(3回毎にシリーズ化)。社員が参加しやすいと思われる、お昼のランチタイム(6回)と夕方のディナータイム(3回)に開催し、9人の社会起業家が登場予定です。

まっさらな状態からスタートした本プロジェクト。社内外の多才な協力者に恵まれ、舞台が整ってきました。後編では、どのようにして多くの社員を集め、「目的地は鬼ヶ島」イベントを盛り上げていったか、その舞台裏についてご紹介します。

以下の後編もご覧ください。


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