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気持ちに余裕を持つために

今年の目標の1つに「完璧にしない」ということを掲げていました。私は子供の頃から、自分が「コレだ!」と1度思うと、その事が良いか悪いかは別として、とことん追求してしまう性格で、その「完璧主義」ぶりは社会人として仕事をする上ではとても役に立っていました。

でも、大人になるに連れて、仕事をしていないプライベートの時間にも「完璧主義」が顔を覗かせる瞬間が度々あり、人間関係を構築したり趣味を楽しんだりする時に、その「完璧主義」は邪魔で扱いにくい存在だなぁ、と思うことが増えました。新しい友人に対して気を使いすぎて、自分が疲れてしまったり、家事を”完璧”にできないなら、いっそ飲み歩いてしまえ!という不健康な発想が生まれたり、新しい趣味を”完璧”に仕上げる為に、寝る間を惜しんで物凄い勢いで取り組んでしまったり…今振り返ると、本当に失敗だらけだなぁ、と思い可笑しくなってしまうことばかりです。

仕事を完璧にし、家事も完璧にしたい!と奮闘するあまり、心身の疲れが取れる前にまた新しい疲れが重なるようで、あぁ丸1日眠りたい…!とよく思ったものです。それでも、幼い頃から染み付いた”完璧”感覚は中々捨てられず、どうしたものかと困り果ててしまうこともよくありました。

そんな私も、フルタイムの仕事を辞め、パートタイムの仕事をしたりしていたのも辞め、専業主婦になりました。これで”完璧”な家事が出来る!と、何故かホッとしたのを覚えています。

専業主婦になった私に、「らしくない」「毎日ヒマじゃない?」「キャリアを全て手放すの?」「妊娠したんじゃないの?」という言葉をかけてくる人もいて、子供がいない専業主婦は珍しい存在なんだな、と自覚する瞬間が度々ありました。確かに専業主婦でいることや、少なくとも自分自身を「専業主婦」と呼ぶことは、ファッショナブルな感じはしません。

「専業主婦」「homemaker」という言葉をアーバンディクショナリーで調べると、「通常は女性。掃除をし、栄養ある食事を作り、洗濯、用事をこなし、ペットの世話をし、予算の範囲で仕事をこなし、全てをオーガナイズする。彼女は彼女自身がボスでもあり、自分自身のスケジュールを組む自由を楽しんでいる。彼女にダラダラしている時間なんてない。専業主婦として無給で働くことの価値に気がついた彼女たち。なぜなら、専業主婦で働くことは、家族に安定をもたらし、全てのストレスを減らし快適さをもたすからだ」と書いてあり、調べる言葉を英語にするだけで、「専業主婦」が、なんだかとてもファッショナブルな仕事にも思えてくるので、言葉は本当に不思議です。

専業主婦になってよく思うのは、自分に必要なのは”完璧”にこなす時間というよりも、”完璧”にしない気持ちの余裕なのだということです。これは専業主婦として家事をこなす時間だけに限らず、実はいつでも言えることなのだと、しみじみ感じるようになりました。どんな時でも気持ちに余裕を持てるコツというのは人によって様々だと思うのですが、私の場合は夜、街の誰もが寝静まったような静かな時間に温かいお茶を飲んでから、ヨガをし、ちょっとした瞑想のような時間を持つことです。静かな何もない時間を過ごすと、自分の中の何かがスッキリして、翌朝の気分が結構違います。

”完璧”からの解放がテーマの今年も、気が付けばあと3ヶ月。10月に入り、今まさに心地よい季節。慌ただしくしていると時間がとても早く流れてしまうけれども、忙しくとも1日1日を大切に、10月の季節の変化を感じる気持ちの余裕を持って、過ごして行きたいな、と最近よく思います。

日本の短い秋は、そんな気持ちの余裕を持つように、ふと人を立ち止まらせてくれる、特別な時間なのかもしれません。


Bibliography :私は専業主婦





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