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今こそ、声を上げよう!|Black Lives Matter とは?

警察官による黒人男性ジョージ・フロイド殺害事件をきっかけに、現在全米で大きなうねりとなっている抗議活動「Black Lives Matter」「黒人の命も重要だ」。この活動は2013年に当時17歳だった黒人の少年、トレイボン・マーティンが白人警官に射殺された事件に対して「絶対に受け入れない」と抗議することをきっかけに#(ハッシュタグ)blacklivesmatter が生まれました。

2013年当時の抗議活動に、大物ビヨンセが賛同したこともあり、全米各地で毎日#blacklivesmatter の抗議活動が相次ぎました。マーティンの死後も相次ぐ、警察官の違法な取締りによる黒人の死。その度に#balcklivesmatterという抗議活動は行われてきました。

そして#blacklivesmatterの声が大きく響くに連れて、「White lives matter」「白人の命も重要だ」という声が白人から上がり始め”中立性”を保つ為に、「All Lives Matter」「全ての命は重要だ」という言葉が生まれました。

いうまでもなく「全ての命は重要」ですが、私は「Black Lives Matter」と声を上げることが「他の人種の命が重要ではない」ということを意味する、あるいは暗示させる、とはどうしても思えません。

日本語版も出版されている雑誌「Bazzar」。昨年書かれた「私たちが”All Lives Matter”と言うのを止めなければならない理由」という記事が、今再び注目を集めています。

その記事はこんな言葉で始まります。

「アフリカから非人道的に、まるで家畜のようにアメリカに連れて来られた時、私たち黒人の命は重要じゃなかった。KKK(白人至上主義グループ)の何百という手によってリンチされ殺された時、私たち黒人の命は重要じゃなかった。平等な権利を求めて抗議すれば犬を使って攻撃され、そして殺された時、私たち黒人の命は重要じゃなかった」

「ウィークリーニュースを毎週観るたびに、少なくとも1人の黒人の少年が警察官に殺されたり、黒人女性が警察官によって地面に投げつけられたり、黒人の子供が本来彼らを守るべき警察官によって手荒な扱いを受けいます。そして、それらは間違いなく毎週起きるのです。黒人の命は重要だ(Black Lives Matter)と皆に感じて欲しいという切望にしがみ付きながら、私は自分の心が沈んでいくのを感じます。」

私は、この記事の最初の数行を読んだだけで、悲しみと怒りで涙が出てきました。そして彼らは、ただ私たちと同じように街を歩き、困ったことが起きたら警官に相談し守ってもらいたい、’黒人だ’という理由でいつ殺されるか分からないという恐怖から解放され、ただただ普通の生活がしたい、と言っているんだ、と私は理解しました。400年間も、毎日仲間が殺されていくのを目撃し、それでも怯むことなく声を上げ、そしてその声が何度もかき消されていく…。

「Black Lives Matter 」は人種間での衝突を生んだり、自分たちを優先させろ、という排他的な活動をしているのではなく、ただ普通の生活がしたい、という切望を#blacklivesmatterと声に上げているのです。

黒人が警察官によって殺害されるケースは白人の2倍近い、という統計があります。2015年に発表された、研究結果によると白人は100万人に対して2.9人が警察官により殺害されているのに、黒人は100万人に対して7.2人が殺害されていることが判りました。

つまり、黒人の命を含めた市民全員を守るように、特に警察や病院(黒人の多くは人種差別により、医師から白人と同じ治療が受けられないでいます)選挙で選ばれる政治家たちに「Black Lives Matter」をしっかり根付かせないと、黒人たちの生活は改善されないのです。

ブラックコミュニティの生活が、社会のどの位置に優先順位をつけられているのか、そして人種による優位性など存在しない状況に、生まれた時から死ぬまで追いやられるのが、どういうことなのか?

「その世界を想像してみてほしい」

と、アメリカで知らない人はいないTVプログラム「ザ・デイリーショ」の大人気司会者トレバー・ノアが立ち上がりました。トレバーの動画は、現在snsで拡散されて続け、既に500万回以上再生されています。

(リンクを下に貼っています。英語字幕も付いていますので、是非フルビデオを観てください。とても考えさせられる内容です。)

彼は、現在全米で行われている一部の抗議活動が過激化し「暴動や略奪は‘社会’のルール違反だ、もっと平和的に抗議しろ」という意見を踏まえて、このように話ています。

「’社会’とは何だろう?私たちはその’社会’という契約書に人としてお互いにルールを守る為にサインしている。俺が’社会は契約’だというのは、人々が口に出して言おうが言わまいが、社会という枠組の中にいる私たちが共通のルールや考え方によって行動することに同意しているからだ。そして、その契約は人々がきちんとルールを守ることで、より強く継続する。

でも、あるグループだけが、特にアメリカに住む黒人だけが、皆と同じ生活ができていないにも関わらず、強制的に契約書にサインさせられ、そして何度も何度も契約書が目の前でビリビリに破られるのを目撃する。命を落とすグループがいることはルール違反じゃなのに、略奪はルール違反だ、という契約ってどうなんだろう? 

あなたが、誰かから命を狙われていないのは、社会の契約書を守っているからだ。でも、法律や権力のある人々がルールを守らなかったら、契約書は存在しなくなる。私たちは権力のトップに、契約書を守る責任感をより持たせる必要があるんだ。なぜなら、権力のある者が、私たちが社会で行うこと全ての契約書の文言を決めているからだ。

どうすれば今ターゲット(スーパーマーケット)で起きている略奪がなくなるか?それを考えるのに、もしかした少し役に立つかもしれないので、ハッキリ言う。もし毎日、自分の中から何かが少しずつ略奪されたら、どう思う?アメリカの警察官は黒人の体を略奪している。今日も、明日も明後日も、1日も欠かさず、’肌の色‘が原因で心を、命を略奪されるんだ。

想像してみてほしい。

自分の社会が良くなると信じてサインした契約書が目の前でビリビリに破られる。毎日破られるんだ。どう感じるか、自分自身に問いただしてほしい」 

私は「知る」ということが、全ての始まりだと思いこれを書きました。私は20代の頃、外資系の会社で働くまで人種差別や人種特権について、深く考えたことはありませんでした。そして、同じ日本人にしか見えない同僚が選挙権を持っていないことを知り、日本にも人種差別があること、そして自分が今まで当たり前に持っていると思っていた選挙権について、深く考えるようになりました。

今アメリカで起きている暴動や略奪が良い行動だとは、もちろん思いません。しかし、私は彼らの何百年も続いてきた苦痛や屈辱を理解する必要があると思うのです。

日本にいる私たちが今すぐ出来ることは、暴動や略奪の是非を問うのではなく、どうすれば私たちと、不利な立場にあるブラックコミュニティが前向きに手を取り合い、今回の抗議活動から変化を生み出すことができるかを問うべきだ、と思います。

世界中で猛威をふるっているコロナウィルス感染拡大の中、危険を顧みず大勢の人がアメリカ全土で抗議活動に参加し、世界中の人がsnsを通じて抗議しています。

ブルックリンで抗議活動を先導している黒人リーダーは、「Now or Never」「人生で1回きりのチャンスなんだ」と、今抗議することがどれだけ重要かを訴えています。 

彼らはアフリカから奴隷としてアメリカに連れてこられた、あの日から400年間ずっと声を上げてます。これは白人だけの問題ではなく、私たち日本人を含めた全ての有色人種が、その声に耳を傾けてこなかったことが問題だ、と私は思います。

希望へ向けて大胆に舵を切ったブラックコミュニティー。彼らが、誰かに略奪されることなく思い切り自分たちの人生を謳歌できるよう、「 Black Lives Matter」という賛同の声を上げずにはいられません。

どうか彼らの人生が笑顔に満ちた、豊かなものになりますように。







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