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Facebook の信用性

ことの発端は、先月末、トランプ大統領がウクライナのゼレンスキー大統領にジョー・バイデン前副大統領の息子のことを調査するように頼んだ、とされる電話会談の記録を、ニューヨークタイムズがスッパ抜いたことに始まりました。

ジョー・バイデンは来年に迫ったアメリカ大統領選挙で、トランプ大統領の再選を阻止することができる最有力候補です。バイデンの息子は、ウクライナのガス会社の取締役でした。その息子が不正した疑惑があるので「刑事調査して欲しい」と依頼するのは合法ですが、”バイデンを陥れる為”に刑事捜査依頼し「ウクライナへの経済支援をしなくなるかもよ?」と脅しをかけたのは、完全に違法です。

この手を使うのは、トランプ大統領の”いつものこと”なのですが、今回の疑惑が今までと違うのはウィッスルブロワーがいることです。ウィッスルブロワーとは公益の為に内部通報する人のことで、名前は勿論、その所属も公開しないのが通常です。

しかし、ニューヨークタイムズは今回のウクライナ疑惑を重く受け止めた結果「タイムズが公開した電話会談内容の信用性に関わる問題だ」とし、ウィッスルブロワーの所属の公開に踏み切りました。これをきっかけに、トランプ支持達を中心に#cancelNYT(キャンセルニューヨークタイムズ)という、ニューヨークタイムズの定期購読キャンセルを呼びかけるハッシュタグが、あっという間にトレンド1位になりました。

大騒ぎの幕が開けたのです。

この騒ぎで、アメリカで過去3度しか行われていない、弾劾(だんがい)調査にトランプ大統領を掛けようという動きが一気に高まりました。

この流れを食い止めようと、トランプ大統領は直ぐさま新しい選挙キャンペーン広告を作りましたが、CNNが「広告に虚偽内容が含まれている」と判断し、オンエアを中止にするという、前代未聞の事態に発展。

しかし、Facebook はこのトランプ大統領広告を載せる、と判断しました。虚偽内容を含む政治広告でも、その政治家がホワイトハウスで働いていたり、実際に政治に関わっているなら第3者機関のファクトチェックの対象外にする、と発表しました。つまり、虚偽内容を含んでいたとしても掲載が可能になりました。

目や耳を疑うような、ニュースが重なり連日アメリカやイギリスの主要メディアはこのニュースを追い続けています。

政治家が、しかも大統領が虚偽内容を含む広告を打ち出している、とジャッジできるアメリカメディアの勇気と、ウィッスルブロワーの所属を公開するという、ルール違反を犯しながらも正義を追求したニューヨークタイムズの言葉を重く受け止める国民性に、なんだかとても勇気を得ました。

モノでも、コトでもちゃんと誰がどうい思いで作っていて…という背景をきちんと理解した上で使うことで、物質的な面だけでなく、心が豊かになれると思います。Facebookやニュースメディアは、だだ情報を得てシェアして消費するツールとして使用するだけでなく、誰がどんな思いで作っているかを、考え直すきっかけが今回の「ウクライナ疑惑」だと思いたい…

アメリカのジャーナリスト達は「ウクライナ疑惑とトランプ大統領の弾劾について追いかけるから、その記事しかしばらくシェアできない」とツイートしていて、そんな価値観は、これからも確実に広がっていくと期待したいです。


Bibliography :フェイスブックが虚偽内容を含む政治広告の掲載禁止を排除する




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