見出し画像

子供に教えてあげたい言葉が大人を育てる

「子供が6歳になるまでに教えてあげたい11の言葉」という興味深い記事を読みました。日本語の言い回しにはあまり馴染みのない言葉もあり、子供だけでなく大人もこれらの言い回しが出来ると、お互いの考えや個性を尊重でき「随分と自分らしくいられるだろうな」と、学べることが沢山ありました。

ジョアンナ・シュローダーは、ライターをしながら共働きで家族を守る母親です。ある日、彼女は息子のアートキャンプに行きました。すると、ある少年が周りの子供達のやることに付いて行けず、参加する事すらしようとしなくなっていることに気がつきました。ジョアンナはその子の肩に手を置き、先生の言うことに集中するようにいいました。しかし、彼はジョアンナを無視し、教室をキョロキョロ見回してから、頭を下げてうつむき、もはや何もトライしようとしなくなりました。

ジョアンナは彼の目の前に、膝をついて座り「どうして工作をしないの?」と聞くと、彼は泣き出しました。

「みんな僕よりかなり進んでる。もう出来ないよ。もう追いつけない。ダメだ。」

どういう事だったかというと、彼は工作を出来たはずだったのです。手順は簡単だし、工作に必要な物は全て彼の目の前に揃っている。しかも、彼はヘルプを求めることも出来たはずです。しかし彼は「嫌だ」と頭を横に振り、もう出来ない、と言いました。彼はとにかくもう出来ない、という状態だったのです。

「分かったわ!あなた、圧倒されているのね(overwhelmed)?」とジョアンナは彼に言いました。

すると彼は、初めて聞いた言葉に反応し、嬉しそうに「圧倒される(overwhelmed)ってなあに?」と聞き返しました。ジョアンナは「圧倒される」というのは「やる事が沢山ありすぎて、どこから手を付けたらいいか分からなくなってしまって、ちょっとフリーズしてしまう時に使う言葉よ」と説明してあげると、彼は目を輝かせて「そうなんだよ!」と、誰かが自分の気持ちを正確に理解してくれた事にエキサイトしていました。

そして、その少年の母親が迎えに来た時に、彼は母親に駆け寄り「今日は圧倒されたんだけど、全部やり遂げたんだよ」と言い、出来上がった工作を母親に差し出し、心から嬉しそうに笑っていました。その瞬間にジョアンナは、子供にとって(そして大人にとっても)自分の感情や状況を表現する為に、幅広いバラエティの言葉をもつ重要性を感じ、これを記事にしようと思い立ったようです。

「overwhelmed」は直訳が「圧倒される」なのですが「気が遠くなる」という日本語の言い回しにとてもよく似ていると思います。

「overwhelmed 」の他に私がいいな、と思ったのは「frustrated 」「ストレスがたまる」、「imtimidated」「おじけづく」、「That’s not my thing 」「私はそういうのやらない」

「ストレスがたまる(frustrated)」は、大人がよく使う表現のような気がしたのですが、ジョアンナによると怒りや悲しみではない”ストレスが溜まる”という感情は、実は子供もよく持っているそうです。例えば、他の子供達は遊んでいるおもちゃや遊具が、自分の身長や年齢が足りないから使えない、とう状況にでくわすと、子供は泣いて怒るしかその状況を説明できません。ジョアンナによると、だから子供の怒りは”かんしゃく持ち”と表現されることが多いそう。そんな時に「ストレスがたまるっていうのは、自分のやりたい事が出来なさそうに思えて、自分でもなんで出来ないのかすら分からないときに使うのよ」と教えてあげると、子供は怒りに任せて泣かなくなり、大人になった後も怒りをコントロールしやすくなるそうです。

私が1番日本語に無い言い回しだな、と思ったのは「That’s not my thing」「私はそういうのやらないの」という言葉です。好きとか嫌いという感情ではなく、自分はやらないという言い方が素敵だな、と思います。

ジョアンナは、この言葉は子供が受ける様々なソーシャルプレッシャーから子供自身が身を守れる方法だと書いています。例えば学校の休み時間に「みんなとバスケに行かない?」と誘われて自分がまだバスケが上手く出来ないときや、ジェットコースターやホラームービーなど怖いからやりたくない事に誘われた時は「That’s not my thing 」。大人になって「イジメや横領、パワララに何故加担しないんだ?」と圧力をかけられ仲間外れにされそうになったら、「That’s not my thing 」を言うようにすることで、その状況から”out””抜け出す”瞬間を自分で作れます。そして次にどうしたらいいか?と考える時間を取ることができる、とジョアンナは書いていて、これにはとても共感できました。

こんな風に、お互いの考え方や個性を尊重した中で作られていくアメリカの言葉やルールというのは、”礼儀”や学校内での校則というよりも人間社会で必要な言葉やルールのようで興味深いです。日本人の私にはとても新鮮で、学べることが沢山ある「子供に教えてあげたい言葉」です。


Bibliography: 子供が6歳になるまでに教えてあげたい11の言葉










この記事が気に入ったらサポートをしてみませんか?