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『宗歩の角行』(光文社)はこんな話

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 さて、発売から五日あまり経ちました『宗歩の角行』(光文社)、皆様お手にとって頂けましたでしょうか。
 えっ? まだ? それはもったいない。
 いや、ある意味それは当然かもしれません。今、世の中には様々な娯楽があり、あれもこれも追っていては体が保ちません。「ちょっと面白そうかも」程度ではなかなか手が伸びませんよね。そんなあなたのために、今日は著者自らが、本作の売りをご紹介していこうと思います。なにとぞお付き合いください。

その① 天野宗歩が主人公です

 本作は天野宗歩(1816-1859)が主人公です。江戸時代後期から幕末にかけての人物ですね。そうですね、イメージとしては、新選組の近藤勇や土方歳三の十歳上くらいのイメージです。長生きしていれば明治の御代を見ることができたんじゃないか、というくらいの歳塩梅ですね。
 この人は将棋指しです。現代風に言うと棋士なんですが、当時からその強さは広く知られ、最高段位こそ七段ながら「実力十三段」と謳われた天才とされている人物です。現在でも行なわれている棋聖戦の「棋聖」は、この天野宗歩を指すといわれています。
 ところがこの人、どうも素行が悪かったようなのですよね。伝え聞こえるところでも酒の上での失敗がかなりあったようで、賭け将棋でボロ負けして師匠筋に泣きついたりもしています。それに、将棋指しとしてもややムラッけがあったようで、現代に残る棋譜の中には、あまりに不可解な指し手を残している対局も見受けられます。淡々と、まるでマシーンのように将棋を指すような人ではなく、その場その場で懊悩し、身を削るように将棋を指していたひとだったのでしょう。そんな幕末期の将棋指しが主人公です。

その② 将棋小説です

 将棋指しが主人公なので当たり前のことですが、本作は将棋にウェイトを置いた将棋小説です。天野宗歩はかなり棋譜が残っており、本作で描写された戦いの多くは実在する棋譜を参考にしました。
 天野宗歩は後世に知られた名勝負、名手を多く残しています。たとえば「遠見の角」あたりは有名でしょうか。どうやらこの一手、実際にはそこまで有効な手とされてはいないようなのですが、初めてこの一手を指された相手はいかなる心境だったものでしょうか。
 そして、有名と言えば「宗歩吐血の一戦」もあるでしょう。宗歩のライバルだった大橋宗珉がすっかり宗歩に負け越していることに業を煮やし、妻とともに水垢離をして勝負を挑み、なんとか勝ったものの宗珉はそのせいで体調を崩し妻は発狂、宗歩も負けのショックから血を吐いた、という、なんとも血みどろ極まりない戦いとされています。まあ、あまりにもこの戦いは嘘くさく、そのまま採用はしてませんがいずれにしても宗歩周りには将棋関係の逸話が多いのです。
 さらに本作、結果的に近世の将棋界を描くことのできた小説になったのではないかと思っています。近代の実力名人制とはずいぶん様相の異なる将棋の地平を描くことができたのでは、と思ってます。

その③ 時代ミステリ的です

 これも実史料に残っている話ではあるのですが、『天野宗歩身分留』には、「病死ということにして上に届けた」旨の記述があります。えっ、なんかあったんすか? と疑いたくなる意味深な記述ですよね。
 本作においては、天野宗歩は旅先で殺されたということにしています。そして、なぜ宗歩は死んだのか、誰に殺されたのかを追う、時代ミステリ的な雰囲気を帯びた小説になりました。

その④ インタビュー小説です

 本作、なんとインタビュー形式の小説です。天野宗歩について知る人たちに話を聞いて回り、宗歩の姿を活写する形になっています。
 なぜこんな形式にしたのか、というとそこには明確なたくらみがあるのですが、副産物的な効果もいろいろでて、いい感じにまとまったんじゃないかと個人的には思っております。

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