信長様はもういない書影

GetNaviWebさんで『格差』選書しました

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 お仕事の告知です。
 毎月やらせていただいているGetNaviWebさんの選書の連載、今月分が公開されましたよ。

 ご紹介したのは『僕の心のヤバイやつ』 (桜井のりお 秋田書店)、『幼な子の聖戦』(木村友祐 集英社)、『教育格差』(松岡亮二 筑摩書房)、『希望が死んだ夜に』 (天祢涼 文藝春秋)、『童の神』 (今村翔吾 角川春樹事務所)の五冊。
 いや、ややシリアスなテーマだったので、あまりぶっちゃけた選書は出来ませんでした。うーむ、ちょっとこう、球を外角高めに集めてしまった感があり、もう少し配球に工夫してもよかったかも。

 そして毎度恒例、五冊の中に諸般の事情で入れることのできなかった本たちです。

 まずは 桑島由一『神様家族』シリーズ。

 2003年刊行なのか……! そりゃそうだよね、わたしが高校時代に出会っているシリーズだもんね。
 名前の通り、この世界を司る神様とその家族が地上で暮らしている姿を描くコメディなのですが、主眼は主人公で神様候補である佐間太郎と、そのお目付け役である天使のテンコとのラブコメです。この二人は幼馴染のように育ってしまったがゆえに、お互いの好意に気づいてしまってから、それまで作り上げていた関係性が逆に障害となってしまう……という、幼馴染ものが好きな人にはグッとくる内容です。
 えっ、何が格差? 佐間太郎とテンコの間には、神様(の家族)と天使という明らかな立場の差があるのです。実はこれも大なり小なり二人の障壁となっているのですねー。

 そして今月はもう一冊。
 北村紗衣『お砂糖とスパイスと爆発的な何か—不真面目な批評家によるフェミニスト批評入門』です。

 わたしも一応選書の仕事をしている関係で、フェミニズム評論と呼ばれる評論分野があることは一応知っておりました。が、実際にどういうことをする分野なのかがよくわかっていなかったのですが、本書を読んですっきり。つまるところ、フェミニズム評論とは様々な創作物の中でストーリーの中で暗黙の了解として練り込まれている男女間の描かれ方の格差から現実の(精神的な)男女格差を考えるという評論形態なのだなと勉強した次第です。
 このように書くと専門書のように思われてしまうかもしれませんが、軽い読み口のエッセイとして書かれているので、頭空っぽにして読んでも面白いんじゃないかと思います。ただ、かなり映画や文学作品を読んでいないと本書の真価が見えてこないかもしれません。そうした本来的な敷居の高さから今回はご紹介を見送ったのですが、面白い本なのは太鼓判が押せます。

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