見出し画像

本の棚 #147 『トレードオフー上質をとるか、手軽をとるかー』


−−−−−−−−−−−−−−

上質か手軽か。このどちらかをとるという発想は、ビジネス、さらには生活上のさまざまな事象を理解するための新たなレンズになる。

上質と手軽、どちらをとっても月並みなら不毛地帯。

そう言い放つ著者。さらに…

両方追い求めるのは幻影を追うことと同じで

ビジネスの場合、それは破滅を意味する。

という強烈なメッセージ。

二兎を追う者は一兎をも得ず、なのか。

実際に何かを選択するときに

その二択を常に考えているように思う。

早く着くけど満員の急行電車か

時間はかかるけど座れる各停電車か

自動販売機で缶コーヒーを買うか

カフェに入ってコーヒーを注文するか

数え切れない選択をこのレンズを通して

ぼくたちは考えている。

そう考えてみるとまた違った世界が見える。


上質さを構成する要素のうち、もう一つ見落とされがちなものに個性がある。

あと2つは「経験」「オーラ」らしい。

経験はわかる…オーラ?

雰囲気みたいなものか。

音楽でいうスピーカーから聞くか

ライブで聞くかみたいな。なるほど。

そして「個性」も上質さをつくりだす。

サービスにおける個性は

不安定さを含み、再現性も少ないため

時としてマイナスと捉えられて

「排除せよ」との命令を受けることがある。

しかし、その個性が生み出すプラス

つまり上質さは他にはない武器にもなる。

商品の品質、サービスのスピードばかりに

目を向けていては、やがて同質化していく。

個性も模倣はできるかもしれない。

パくれる程度の個性では上質さには

たどり着けないということか。

なんだか難しくなってきた。


愛されるか、必要とされるか

上質さを言い換えると「愛されるか」

手軽さは「必要とされるか」と言える。

どちらも求めたい、これが人の性。

上質さは「深さ、奥行」

手軽さは「幅」

みたいにも捉えられるな、と感じた。

上質かどうか、手軽かどうかの基準は、テクノロジーの進歩によって絶えず引き上げられていく

昔の上質や手軽は

現代において同じレベルではない。

かつてメールは手紙に比べると格段に

手軽であったが、LINEの出現によって

その手軽さの基準は引き上げられた。

iPhone13がリリースされたが…

一体どこまで上質さを極めていくのか

もはや手軽に買える金額でもなくなり

あの端末にテクノロジーの先端が

ギュッとつまっているとはいえ

ぼくにとっては魅力はない。

この基準の変化が緩やかだったころと比べ

今は基準がガンガンあがる時代だと思う。

「22世紀を待たずしてドラえもんリリース」

なんて可能性大だろう。

ぼくはそういう時代に生きていることを

自覚して、おおいに楽しみたい。

商品やサービスの成否は、目新しいかどうか、時流に乗っているかどうかよりも、上質と手軽のさじ加減で決まる。

さじ加減むずっ。

例えばセグウェイは前評判はよかったらしい。

しかし今のところしてウーバーイーツのように

そのへんで見かけるレベルではない。

これもさじ加減に依るものだと著者は語る。

市場に出るのが早すぎたために

受け入れられなかった商品やサービスが

どれだけあるだろうか。

たださじ加減をミスっただけなのに

それは失敗として消えていったりする。

ほしい、さじ加減能力。

−−−−−−−−−−−−−−

#読書 #推薦図書 #交換 #個性

#テクノロジー #さじ加減  

#ジムコリンズ #ケビンメイニー

この記事が参加している募集

推薦図書

サポート頂いた分は全て書籍代として本屋さんに還元します!