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本の棚 #148 『小休止のすすめ』

先日「押さえどころと抜きどころ」について

書いたけど、抜きどころ=小休止といって

差し支えないかもしれない。

ずっと全力疾走はできない

ずっと山を登り続けることはできない

ずっと潜り続けることもできない

ひと息ついていいじゃないか。

でも、どんな休み方がいいのだろう。

ただ体力を回復させるために寝るだけが

ここでいう「小休止」ではない。

ヒロミさん、藤田さん流の小休止のとりかたを

二人の人生になぞらえて読みすすめる。

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たった1人のエースがいても、うまくいく期間は短い。市場や環境に変化が生じたとき、対応して変わっていけるのは、エースに頼るチームよりも、団体芸を理解しているチームだ。

ヒロミさんがジムの経営を通して学んだこと。

エースの存在が目立てば目立つほど

それは長くは続かない。

部活動のエースが活躍していて

監督が喜ぶのは、3年間という期限があるから。

経営はそうはいかない。

そんなときに団体、チームとして

機能している組織は強い。

強いといっても、カッチカッチに強靭ということではなく

柔軟性と瞬発力のある筋肉のような

怪我をしにくく、長く活躍してくれる。

エースを否定するわけではないが

長くは持ちませんよ、というのは頷ける。


プライドの対象が、“自分”なのか、“自分以外の何か”なのか。

自分に対するプライドはやっかいだ。

過去の栄光にすがって

いつまでも自分はできていると思ってしまう。

ところが、自分以外の何かにプライドをもつと

例えば、チーム、製品、サービスなど

それらにプライドを持つことは悪いことではない。

「佃プライド」は佃製作所というチームを

一丸にしてくれて、常にレベルの高い製品を

生み出していた。(ドラマだけど)

プライドをすべてダメなものとするのではなく

良いプライドと悪いプライドがあることを認識して

自分がもつプライドとは何か

それを小休止で考えてみるといい。


「楽観はしない。ましてや悲観もしない。ひたすら平常心で」

棋士の羽生善治さんの勝負に勝つ秘訣に

藤田さんが強く共感している。

ぼくもこの感じは好きだ。

平常心というとシーンとした

冷たい雰囲気に捉えられそうなものだけど

ぼくが考えている平常心は

「青く揺れる炎」のように

静かで優しそうに見えるが

実は赤く激しい炎よりも熱い。みたいな。

一喜一憂するのではなく

いいときもあるし、悪いときもある、

それも自覚したうえでの平常心なのだ。

簡単ではない。

超一流であってもこの平常心であることを

保つことは困難ではないか。


目に見えるわかりやすい能力や結果だけでメンバーを固めてしまうとバランスを欠いて、失速するときがやってくる。

飛び抜けて優秀なトレーナーでもなく、

特別なスキルをもつスタッフというわけでもない。

でも、その人がいると店の空気が良くなり、

スタッフ同士の連携も高まるという人。

そういう人は数字ではわからない。

むしろ数字的には低い点数の人もいる。

けれどもチームの成果をあげてくれる魔法を

そのスタッフは使える。

攻撃力は低いけど、マジックポイントは高い。

このあたりの能力も近い未来に

何らかの形で見えるようになるのか。

長距離走で考えている人は「ここで小休止だ」と体制を立て直すことができます。

勝つためにペースを落とす、

この重要性を藤田さんは説いている。

人生は短距離走とは考えにくい。

ダッシュだけでは息切れするし

上に上にと登ろうとすれば高山病にもなる。

途中でペース配分をできるか、

それはこのレースを長距離走だと理解して

自分のペースを考えられる人でないと

難しい、あぁ難しい。

もちろんペースアップするときも必要だ

ずっとのろのろ歩いていても日が暮れる。

生きてさえいれば、なんとでもなる。

ペース配分に、ご注意を。

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#経営 #ヒロミ #藤田晋

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