本の棚 #98 『銃・病原菌・鉄㊤』
『銃・病原菌・鉄㊤』
ジャレド・ダイアモンド
学校に通っているときは歴史というものに特別興味はなかった。
「年号と出来事を覚えるだけ」
そんな感覚しか持っていなかった。
今思うと…もったいない。
教科書にのるような大きな出来事に限らず
歴史には学ぶべきものが詰まっている。
今の自分の悩みなどすでに誰かが経験していて、
なんならすでに解決済み、みたいな小さなことから
ウイルスと人類との戦いも、
ぼくにとっては未経験のものでも
人類からするとすでに経験済みだ。
そこから学べることは少なくない。
ただ時代が違えば、環境も変わるから
前提条件が違うことでこれまでの解決法が
通用しないこともある。
それを抜きにしても、人は歴史から
多くのことを学べるし、学ぶべきだろう。
−−−−−−−−−−−−−−
「あなたがた白人は、たくさんのものを発達させてニューギニアに持ち込んだが、私たちニューギニア人には自分たちのものといえるものがほとんどない。それはなぜだろうか?」
当時著者が、ヤリという政治家から受けた質問…
なぜ、人類はそれぞれ異なる文化を発展させたのか
なぜ、そこに違いがあるのか
(ちなみにニューギニアには1000種の言語があるという)
それは先天的な能力の差?環境の差?
………
そんなこと言われても知らんがな。
ぼくはシンプルにそう思った。
しかし著者は違う。この質問に刺激を受けて
その答えとしてこの本をつくったのだから。
「人類史には、大きなパターンが存在する」
なんかわくわくするプロローグだ。
えっ、まだプロローグだったの?
ということでじっくり読み始める。
「歴史は、異なる人びとによって異なる経路をたどったが、それは、人びとのおかれた環境の差異によるものであって、人びとの生物学的な差異によるものではない」
これが分厚い本書の要約だそうだ。
例えばオーストラリア・ニューギニアは
他の大陸から孤立していたり、
砂漠で覆われた地域であったことから
アフリカ大陸やユーラシア大陸に比べて
あとから人類が住みついたとされている。
しかし、オーストラリア・ニューギニアの住民は
発達が遅れるどころか
世界のどの地の人たちよりも早く
「舟」を作りだした。
これは孤立した環境、砂漠という住みにくい環境があったからこそ
生まれたのだと考えられる。
どんな環境に置かれているかで
人類の進化が異なるというならば
それを現代にも転換して考えられそうだ。
大昔の人たちは自分で自分の居場所を
選択できなかっただろうが
今は選択できることが多いため
あえて厳しい環境に身を置いたり
難しいとされる道を選んだりすることで
成長速度をあげることができる。
10万年前から5万年前の「大躍進」の時期に、われわれの祖先に画期的な変化が起こっているわけだが、そこには大きな未解決の謎がある。
〇万年前…
スケールが大きすぎて西暦2021年がかすむ。
未解決の謎、と言われたら大興奮です。
ひとつは「何がきっかけで起きたか」
もうひとつは「どこで起きたか」
それまで動物はおろか魚さえも捕れなかった
そんな人類がいったい何がきっかけで
釣り針や網を発明したのか。
気づいたら歩くようになっていた息子のような
そんな突然感のあるようなものではなく
おそらく何回もトライ・アンド・エラーが
あったと予想できる。
またどこで起きたかに関しては
同時多発的に起きたという説もあれば
ある一点で起きたことが人類の移動とともに
世界中に広がっていったという説もある。
今ならネットで一瞬にして広がる情報だが
その当時は何千年単位でゆっくりゆっくり
何世代にも渡って語り継がれていったのかもしれない。
想像するだけで途方もない…
けれどもそれが2021年の今につながっている
人類すごすぎないか?
第一章でこの満腹感。
まだまだ続きます。
−−−−−−−−−−−−−−
サポート頂いた分は全て書籍代として本屋さんに還元します!