#エッセイ(会社)『頑張って来たんだけどなぁ・・1』(第二次ベビーブーム世代のステルスリストラ)
2024年3月、日経平均の株価が4万円の大台を突破した。バブル経済時の株価のピークは1989年12月29日、当時の日経平均は38,915円であり実に35年ぶりの好景気と言っていいのでしょか・・・。私の肌感覚でいうならもし、株価の上下だけが景気のバロメーターというならば、今の日本の状態は実態無き好景気だと思うのです。実際に現在の社会状況を見渡すと、日本の労働市場において非正規雇用の割合は約37%ほどであり、私の勤めている会社でも非正規雇用社員が大勢在籍しています。そんな彼ら、彼女らの人件費は正社員と比べると割安であるのに対し、社内では貴重な戦力で会社も重宝しているかこそら雇い続けているのでしょう。このような状況で昭和の頃から平成の中盤頃までのように、新入社員として大手の企業に正社員として採用されていれば一丁上がりの人生かといえばそうとも言えない時代が忍び寄ってきていると思えてならないのです。
バブル突入時の日本は基本的に好景気で、プラザ合意による日銀の低金利政策の影響から銀行に預金をしても利子が付かない為に現金が市場に出回り、そのお金の向かったところが土地と株だったというのがさらなる好景気に拍車をかけまた。しかし今の株高は景気の後退鏡局面に陥った中国の株式市場から引き揚げられた海外資金が日本株に向かい、それと米国の株式市場の過熱とこれからの日本経済の復活と円安に対する期待から起きている現象の様であり、私たちの国の実体経済がそこまで良くなっているとはにわかに信じがたいというのが私の見立てです。“失われた20年”といわれる長い不景気で私たち日本人の給料はこの20数年ほど伸びなくなっていたのですが、昨今の企業が買い入れる材料費高騰から来る物価の上昇で超大手の企業から給料は徐々にですが伸び始めています。それが仮に順調に進んだとしても日本の全企業に蔓延するにはまだ時間がかかるでしょうし、その間に給料の伸びがあまりない人たちにとってはこの間は今までとは別の意味で苦しい時代になるよう気がしてなりません。もちろん私もその一人です。折しも国内では少子化の影響が出てきており、どこの職場でも若い労働者の人材は少ないです。それと連動をしているのかは分からないのですが、各企業は組織の若返りを図っており、若手と女性の管理職以上への登用に躍起になっているようです。早い段階で若手の社員を管理職に付け、ゆくゆくは40代の役員を出したいと考えているようです。そうなると困ったのが40代後半から50代の私の様なベテラン社員の存在です。
そんな企業の動きとは別に、私たちの国は既に少子高齢化社会に突入しており、若い世代からの年金積み立ての徴収が思うように伸びない為でしょか、政府としても需給者に年金が払いきれない不安を感じていると思われるために年金の支給年齢がどんどん引き上げられていいます。その結果として国は企業に定年の年齢を引き上げさせるように要請しています。そうなると困ったのは企業の方です。給料の高い年配社員をいつまでも雇い続けないといけないという状況に陥ってしまいす。しかし私の見立てでは各企業もだまってはいません。その辺はちゃんと手を打ってくるのですね。給与体系と組織の在り方、社員の待遇を含めた役職を見直す動きが各企業で行われているようです。そうなってくるとそれに翻弄されるのが第二次ベビーブーム世代に生まれた人たちです。昭和48年をピークにその前後数年に生まれた世代の人たちは、今現在で丁度40代後半から50代半ばまでの人たちです。特に40代後半の世代は就職氷河期の中に入社し、それこそ給料の伸びを感じられない中で頑張ってきました。中には“よ~し!俺もここから・・・”と思っていた人も多いいでしょう。恥ずかしながら私もそんな事を胸に抱いていた“をじ”さんの一人です。これからだと思っていた矢先に会社からのこの仕打ち・・・と思うと泣けてならないのです。寅さんじゃないですが多くの“をじ”たちは顔で笑って心で泣くという今日この頃なんじゃないかと思っているのです。
(その2に続く)