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リトルガール・イン・マッシュルームワールド

14
140字小説として綴られた「キノコの世界」全14話を「リトルガール・イン・マッシュルームワールド」として纏めました。 フルカラーの挿絵と軽妙な語り口が魅力の物語となっています。
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#旅行

キノコの世界3

キノコの世界3

 

 歩き疲れた少女は、手頃なキノコに腰かける。
 足元には網目状のキノコが生えていた。

「ーー予約したホテルはどこにあるのかしら」

 少女は事前に調べておいたホテルまでの経路を確認するが、地形が全く違っていた。

 どうやら迷ってしまったようだった。

「これが異国の洗礼というやつなのね」

 たぶん違った。

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140字小説です。

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キノコの世界6

キノコの世界6



 雨上がりの澄んだ空気の中、少女はキノコを食べながら歩く。

「モグモグーー?」

 卵の殻のようなものから生えたキノコの影に何か動くものが見えた。

「動物かしら?」

 ジッと目をこらすと、どうやらそれは二足歩行する小さな生物だった。

「ーーお肉食べたいわね」

 生物は少女に気付くと一目散に逃げ出した。

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 140字小説です。

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キノコの世界9

キノコの世界9



「このあたりにホテルはないかしら?」

 渡したキノコに小躍りしていたお肉ーーもとい小人達は、少女の問いかけに応える。

「うちくる?」

 小人達は大きなキノコに少女を座らせる。

「キノコでひとっとび!」

 ひとっとび? 少女は嫌な予感がした。

 小人の一人が小さなキノコを押す。

 少女はキノコと空へ飛んだ。

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140字小説です。

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キノコの世界10

キノコの世界10



「おそらあおい」

 自由落下の最中にもかかわらず少女はそれまでの人生を振り返る余裕すらあった。ーー走馬灯だった。

「これ着地どうするの⁉︎」

 はたして声は届いたのか、小人の一人が感情の読めない笑顔を見せる。

「神様なら大丈夫ーーたぶん?」

 神様なら?ーーそれだめじゃない?

 少女は意識を失った。

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 140字小説です。

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キノコの世界13

キノコの世界13



「そろそろ行くわ」

 少女の言葉に小人は寂しげな表情を見せた。

 小人は少女の手を引きとあるキノコの前へ連れていく。
 そこでは蛹がちょうど羽化し、巨大な蝶が翅を広げていた。

「綺麗ね」

 思わずこぼれた少女の言葉に。

「乗ってく?」

 小人は蝶を示す。

「やめておくわ」

 蝶は少女を掴むと空へ舞い上がった。

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 140字小説です。

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キノコの世界14

キノコの世界14



 燃えるような夕焼けの中、ひらひらと舞う蝶の翅が気流を掴む。

 目を細める少女の頬を暖かい風が撫ぜる。

「これ、何処へ向かってるのかしら?」

 既に、森のように広がっていたキノコ達は見えなくなっていた。

「さようなら・・・・・・ジャパン」

 勘違いしたまま、少女は思い出を胸に新たな世界へ旅立った。

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 140字小説です。

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