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2020 出雲一人旅#11「神迎祭」

「神迎祭」は旧暦の十月十日に行われるため、新暦では毎年、日程が変わります。2020年は、11月24日に斎行されました。

しかし、今年は例年とは異なり、密を避けるため、稲佐の浜での神事は一般参列は中止となりました。神事は神職のみで執り行い、本来なら神迎の道を歩いて出雲大社にお迎えするのですが、今年はバス移動となりました。

多くの人は、神迎え神事を見るため、稲佐の浜に行っているようでした。夕方の時点で、稲佐の浜の神事を行う浜への入り口には、警備員が立っていたので、かなり厳重に立ち入り禁止にしているようでした。

数年前、嵐のような雨のため、稲佐の浜での一般参列が中止になったことがありますが、それ以来のことで、「例年通りにはできない」ということには、少なからず意味があると思われます。

私は、稲佐の浜に行っても、遠くから眺めることしかできないだろうと予想して、出雲大社の境内で八百万の神々を待ち構えることにしました。

出雲大社での神迎神事は、例年は神楽殿で行い、稲佐の浜から神迎の道を歩いてきた人が先着順で、殿内の神事に参加できることになっています。

今年は、拝殿にて神事を行い、参列できるのは一部の崇敬者のみということで、拝殿前で待つことにしました。神事を行う神職の方々が拝殿に入り、境内の明かりが消されて、しばらく待っていると、銅鳥居の前にバスが横付けされました。

純白の絹の布に囲われ、依り代となる二本の榊の神籬(ひもろぎ)を持った神職の方たちが、参道をまっすぐ進んで来られました。私は、全身がゾワゾワとして、何とも言えない感覚を味わいました。

神事が終わると、その神籬は東西の十九社に運ばれ、八百万の神々は宿舎に入られます。拝殿前の一番前に居た私の目の前を、神籬が通過しました。神迎祭に毎年通ってきた中で、最も至近距離で、八百万の神々を感じた瞬間かもしれません。

拝殿で神事が斎行されている間に、息を切らしながら拝殿前にやってくる人がたくさんいました。今年はバス移動のため、稲佐の浜に行っていた方たちは、急いで出雲大社に来たようでした。このような状況のお陰で、境内に穢れがあまり持ち込まれず、八百万の神々をしっかり感じられたようです。

今年は一人旅で、身軽に動くことができたので、たくさんの恩恵をいただけました。
この出雲一人旅シリーズは、まだまだ続きます。
写真は神迎祭直前の夜空です。

いつもありがとうございます。
見えない世界を伝える神社ナビゲーター
市口 哲也

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