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見えざる手との戦い

『神の見えざる手』は、アダム・スミスという学者が『国富論』という自身の理論で提唱した、市場の需給がマッチするという調整機能。経済を語る上では基礎的で重要なコンセプトの一つですが、中国では経済的な側面の見えざる手以外の、『見えざる手』との戦いがあるのだな、と感じます。

上記の過去投稿にも書いたように、アリババ傘下のアントフィナンシャルは昨年から様々な影響を受けているようですが、今回はアリババ傘下のメディア会社へ売却要求が進む、といった話のようです。なんだか以前の日本の財閥解体?の現代版のようなイメージさえします。

アリババは香港英字紙サウスチャイナ・モーニング・ポスト(SCMP)を保有する。アリババの解体につながるだけでなく、SCMPを中国の国有企業に売却すれば、香港の言論にも影響が出そうだ。…中国社会への影響力が大きい企業であることから、中国政府がアリババの影響力をそぐ狙いも透けて見える。アリババは2016年にSCMPを買収したほか、中国の動画配信サービス大手の「優酷土豆」を傘下に収め、中国版ツイッターとよばれる「新浪微博(ウェイボ)」や映画製作大手の「華誼兄弟」、動画配信大手「ビリビリ」などにも出資する。

また去る3月15日に中国国営放送で流れた特別番組「3.15晩会」は、消費者への態度や品質管理問題などを指摘し、消費者の権利向上を図ろう、という世界消費者権利デーにちなんだ、毎年注目されている番組です。以前はアップルなど有名な外資系企業が謝罪に追い込まれるほどの番組で、中国で事業をされている方であれば気にしてらっしゃる番組かと思います。

2021年の標的は日本企業(日産)も含まれていた模様。

日産自動車の高級ブランド「インフィニティ」や米フォード・モーター系の一部製品で故障が頻発している事例などを批判した。インフィニティについては、複数の所有者の声を紹介しつつ、変速機の故障が頻発する例を取り上げた。販売店によっては一部の所有者に対し、保証期限を延長する代わりに、メディアなどへの情報提供をやめるよう求めたという。…現地の運営主体であるインフィニティ中国は同日、特番を受け「顧客へ心からおわびする」とする声明を発表。この問題についての専門窓口を設ける考えを示した。

以前より3.15晩会による企業に対する負の影響は限られている、とは考えられている。しかしここにも『見えざる手』が動いていると考えると、中国という世界でも有数な単一市場で上手くビジネスを中長期にわたって行い、拡大し、リターンを得る、というのはかなり至難の業である、という理解はよくできる。



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