運用会社の動向とヒント①
2回の投稿に分けて、日本における運用会社全体の動向について、特に収益力低下について、また上手くいっているところから見えるヒントは、に関して書いてみます。第1回目は、運用会社の収益力低下に関して、です。
上記記事のように、日本の運用大手の収益が下落兆候。収益力低下の主要な要因とされるのが、投信の信託報酬の低下。ETFや指数系のパッシブ投信など低水準の信託報酬の残高は増えているものの、収益改善とはなっていない、という事実です。
三菱UFJ国際投信も低い信託報酬が業績に響いた1社だ。…同社の投信全体では資金は流入超だったものの、収益には結びつかなかった。…パッシブ型投信全体の資産残高は12兆円と10年前から2.5倍に膨らんでおり、運用会社の収益環境の悪化を招いている。
一方、記事にも書いてありますが、業績好調な大手運用会社は(三井住友トラスト・アセットマネジメントと東京海上アセットマネジメント)信託報酬が比較的高いアクティブ型への資金流入が多かった、そうです。
また日本証券アナリスト協会の第11回SAAJ国際セミナー(本来は出席セミナーでしたが、コロナ禍により中止。代わりに、証券アナリストジャーナルへの寄稿による開催へ変更)において、遠藤俊英前金融庁長官からの寄稿に、運用会社の問題点が下記のように書かれています。
日本では、運用本数の多い大手資産運用会社で、その平均パフォーマンスが公募投信全体の平均を下回っている先が米国よりも多くみられた。その原因は、日本の大手資産運用会社の多くが、運用するアクティブ公募投信において、十分にαを生み出せていないことによるものと考えられる。…個別のファンドをみると、日本の大手資産運用会社が提供するアクティブ公募投信の中にも、良好なパフォーマンスを実現しているものがみられた。…
日本のアクティブ公募投信の平均パフォーマンスが低調である原因として、資産運用会社の運用力の問題が指摘されている。例えば、海外株式
に分類されるアクティブ公募投信の大手資産運用会社毎のパフォーマンスをみると、信託報酬控除前からパッシブ平均を下回っており、資産運用会社自身からも、自社運用力や外部委託先の目利き力といった点に改善の余地があるとの認識が示されている。
遠藤前長官についても下記Note投稿で一部触れておりますので、同時にご確認ください。
では、運用会社が高信託報酬を稼げるアクティブ型の投信で、特に運用会社の手腕が図りやすい(もしくはそれなりの成績を残しているから、今も存在している、という生存者バイアスも含めて)日本の中小型株のファンドのトップ銘柄を、次回投稿で見ていこうと思います。