過去投稿からの進化・変化⑤-日銀ETF

来る3月18-19日の日本銀行の金融政策決定会合で注目されているのは、日銀のETF購入額の明記(年間6兆円ペース)がどうなるか、という点のようです。以前にも取り上げた話題ですが、再度見てみたいと思います。

『過去投稿からの進化・変化』シリーズは下記をご確認ください。
①-IR構想と飲酒離れ
②-従来の大型セクター・鉄鋼や石油業界の今後
③-リニアと聖火リレー中止から見る、地方自治体首長のやり方
④-対中政策の差

昨年末の下記投稿でも書いたように、日銀のETFを通じた株式市場への資金投下(所謂量的緩和政策の一つ)は、足元の世界的な株高へのトレンドも支えられ、含み益が累積され、そろそろ規模縮小すべきでは、という流れがありました。

2021年の購入額は12日時点で計3507億円と7年ぶりの低い水準だ。過熱気味の株式市場で日銀の買い入れがもたらす副作用を意識し、18~19日の金融政策決定会合では株高局面での購入を抑制する政策修正を検討する。…12日までの購入総額は前年同期(1兆4846億円)と比べ76%も少ない。仮に現状のペースが続いた場合、年間で1.8兆円程度となる。買い入れを減らしているのは株価が上昇基調にあり、日銀が市場に資金を供給する必要性が薄いためだ。日経平均株価が30年半ぶりに3万円台を回復した2月は特に少なく、1日しか買い入れなかった。

そこで足元は上記記事のように、日銀によるETF購入の規模縮小を目指していく流れ、というニュースである。皮肉にも、日銀が2010年の白川総裁時から始めたETF購入を通じて株価上昇を直ぐには描けなかったが、2013年の黒田総裁就任後に規模拡大を行い、そして2020年コロナ禍での世界中の金融緩和(特にFEDとECB)で世界的な株高となったことでやっとETF購入の規模縮小へ、という話が出来る可能性が出てきた、のである。

また興味深いのは、来る日銀の新たな審議委員へ、野村アセットマネジメントの社長の中川氏を充てる、という報道である。

この人事は、日銀が購入してきたETFの今後の在り方、特に個人への売却を含めて検討できるように、なのか、それとも野村アセット経由ETFの信託報酬下げの間接的なプレッシャーへ少しでもストッパーとなるのか。

少なくとも今後日本株式の動向は、日銀ETF購入の政策変更の可能性もあり、これからも株高へ押し上げるような要因として、日銀の動向だけをみる、というのは弱いように感じる。

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