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2020年経済予想とビックリ予想

色んな資産運用会社が、2020年の経済見通しを2019年末から2020年初を通して出しています。しかしながら、読者としては経済予測の横比較もしにくく、同時に運用会社としては予想を外したくないために、あまり細かい数字を出したりはしません。。なので、少しずつではありますが、いろんな運用会社の経済見通しを書いていきたいと思います。(自分の勉強も含めて)

注意:各社のWebsiteやBloombergから引用した内容になりますので、詳細については各社にお尋ねください。

またBlackstoneでは、名物ストラテジストであるバイロン・ウィーン氏が「びっくり10大予想」(Top Ten Surprises)を年初に出しています。経済見通しだけではなく、市場動向なり地政学動向の見通しも出しています。個人的に、景況感の良し悪し以上に考え深い点も多く、年終わりに振り返るにもよいものかな、と思っています。で、彼の10大予想を下記のように訳してみました。

1. 米経済は市場予想を下回るものの、景気後退は回避されます。FRB(連邦準備制度理事会)のパウエル議長は政策金利(FFレート)を1%に引き下げるでしょう。トランプ大統領は、包括的な貿易協定を手にすることなく、経済成長を刺激し、景気後退を防ぐために必要なすべての執行権限を行使するでしょう。彼は所得税を引き下げて、消費者の手により多くのお金を渡るようにするでしょう。
2. 格差(不平等)と気候変動は米大統領選挙の重要なテーマになりますが、中道主義の政策が勝つとみています。下院は大統領の弾劾訴訟を上院に送りますが、ドナルド・トランプは有罪判決を受けたり、職から追放されたりしないでしょう。弾劾訴訟を通じて、様々な情報が明らかにされ、彼の支持者の一部と多くの無党派が、2020年の州選挙において、より革新的な候補者に支持をするようになるでしょう。民主党は11月の選挙にて、上院の過半数議席を獲得するでしょう。
3. 知的財産を取得する中国の能力を制限するような、包括的な第2段階の米中貿易協定はないのでは、とみています。国益は技術の均衡化をもたらします。 5Gと他のハイテクハードウェア用の個別の標準開発は、世界経済の将来にとって悪いニュースであることが証明されています。 「デカップリング」への動きは、中国との交渉で勢いを増しています。米国と中国の経済的共同依存は浸食されるでしょう。中国と米国はどちらも香港から手を離し、抗議行動を解決させるでしょう。
4. 自動運転車の将来性は、さらに先へと進んでいます。実験車両での一連の事故により、大手メーカーまたはテクノロジー企業は、自動運転技術を今後開発していかない、という声明を発表するでしょう。
5. 経済制裁の苦痛を発端に、イランは、米国の海外でのリーダーシップ欠如を活用して、イスラエルとサウジアラビアに対する敵意行為を強化するでしょう。
ホルムズ海峡は閉鎖され、石油(WTI)価格は1バレルあたり70ドルを超えるでしょう。
6. 一部の市場関係者は割高であると考えているが、投資家の熱意の高まりにより、S&P500は今年ある時点で3500ポイントを上回るでしょう。金融政策が緩和されており、投資家が中期的に金利が徐々に上昇することについて納得しているため、企業収益は5%しか増加しなくても、S&P 500の上昇基調に変化はないでしょう。ボラティリティが増加し、年間を通じて5%を超えるいくつかの市場修正の場面が訪れるでしょう。
7. 大手テック企業は、政治的監視と社会的反発の高まりに直面するでしょう。一度は市場の牽引車であったが、特定のFAANG株はアンダーパフォームし、市場規模均等加重のS&P 500はアウトパフォームするでしょう。最大のSNSプラットフォームを解体し、規制と政府的監視を強化するという案が、人気を帯びています。これは、アメリカの人々から幅広い支持を得ているため、Apple、Microsoft、IBMに対する以前の政府の取り組みよりも、大きな成功を収めるでしょう。ニューヨーク市のミレニアル世代は携帯電話を置き、他人とアイコンタクトを取り、それが脅威ではなく爽快であることを再発見するでしょう。
8. 執行可能なBrexitを確保した英国は、EUからの離脱において勝者であることが判明するでしょう。株式市場は上昇し、ポンドは回復するでしょう。英国は長期的な移行期間から恩恵を受けており、見通しが明確になった今、外国からの対英直接投資が再開されるため、2%を超える成長率となるとみています。 EU経済は依然軟調であり、英国以外の欧州市場の成長率は米国やアジアを下回るでしょう。
9. 債券バブルは崩れ始めますが、海外ではマイナス金利が続くでしょう。例え米国経済成長が減速しても、10年物国債利回りは2.5%に近づき、利回り曲線はスティープ化となるでしょう。日本と中国は米財務省の国債売り出しオークションから撤退しることで、経済のファンダメンタルズやインフレではなく、米国債の需給が利回りを高めるでしょう。
10. ボーイング737 Maxの問題は修正され、納品が再開されるでしょう。飛行機は世界中の設備品となり、航空会社がより効率的に運営することで、利益増加となるでしょう。そして航空株は株式市場のリーダーとなるでしょう。

『その他のビックリ』毎年10大予想には入らないものの、いくつかのサプライズが常にあるでしょう。

11. インドの経済危機に対する恐怖が和らいでいます。新興国市場のパフォーマンスは引き続きまちまちですが、インドは成長減速から回復するでしょう。モディ大統領の政府は引き続きビジネス寄りの成長改革を続け、同国経済は6%成長し、株式市場は20%上昇するでしょう。          12. 人工知能は紙の虎と見なされ始め、AIジョブの黙示録は、Y2Kバグが20年前に米国経済を損なうことに失敗したのと同じように、実現しないでしょう。製造系職業はすでに自動化されており、コンピューターベースのアプリケーションを使用してサービス系職業を排除することは困難でしょう。  13. 石油価格が上昇しても、ロシアの経済問題は深刻化しています。その結果、社会不安が広がり始めます。プーチン大統領とロシアの新興財閥(オリガルヒ、oligarchs)との居心地の良い関係は問題となり、世界のリーダーとしての彼の影響力は減少します。彼は世界舞台で自らのポジション維持のため、より中国に近づきます。互いの違いが深刻であるにも関わらず、中国とロシアが、欧米に対抗する用意があるように見えるでしょう。      14. ポピュリズムと内向きの考え方は、特に新興市場を中心に世界中へ広がり続けるでしょう。 無秩序と不調和が世界中に広がり、至る所の金融市場に混乱をもたらします。 投資家は新興市場の現地通貨建て債券から目をそらし、スプレッドの拡大へとつながるでしょう。             15. 北朝鮮は、トランプ大統領と再度会合を行い、核開発プログラムを一時停止することに同意しますが、既存設備を放棄しません。 金正恩書記は、米国に到達できる長距離ミサイルの作業を停止します。 北朝鮮は引き続き脅威であるが、差し迫った危険ではない、と考えます。

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