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オオカミ村滞在記 ① 〜 古道作り 前編 〜

奈良県東吉野村に移住して早10ヶ月。

当初の目的であったサウナ小屋作りをスタートして、頓挫したりするのだが、ここに至るまでかなりの日時を費やした。それを言い訳がましく綴りたいと思う。

そもそも見ず知らずの人間に

「どうぞ空いている土地に小屋を作ってください」

なんて言う変わり者は何処にもいない。

まず、遠回りを覚悟して、道を作ることから始めた。小川という地区には、いくつかの集落があり上出垣内(カミデカイト)というのが自分の住む在所である。

家は村道に面しており、お隣さんは30メートル程離れて建っている。山の上には家が4軒くらい点在してあるが、今は人が住んでいないという。

グーグルマップを見れば、家の上の山を500メートルも歩けば小川城跡という史跡がある。引っ越して数日後、小川城跡へ妻を連れて行ってみた。

急な勾配の登山道を200メール程進むと道はなだらかになった。途中、苔むした石垣が積まれており、歴史を感じさせる道であった。

周りは、ほとんどが杉か桧であるが、20メートルはあろうか、枝打ちされ整然と立ち並ぶ木々の間を歩くのはとても心地よかった。

古城跡は大した見どころがなかったが、帰り道を歩きながら

「これは面白い、熊野古道みたいだ」

と感じていた。道幅は2メートルほどで杉や桧の枝が足元に落ちており、少し歩きにくい。しかし、上を見上げれば空がほとんど見えず、緑の中に覆われている感覚が心地よい。

その日を境に自分はこの道がどこまで続くのか歩き回り、そして道に落ちてる枝を拾っては、谷側へ捨てることを繰り返した。

ここでアントニオ猪木の言葉を引用したい。

「道、この道はどうなるものか、行けばわかるさ、迷わず行けよ。ありがとう!」

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