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オクトパストラベラー2全曲楽曲解説まとめ

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今までに投稿した楽曲解説をこちらのマガジンにまとめていきます。
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2023年5月の記事一覧

激戦

Tr5-9 激戦1の「理を司る者」に近い立ち位置にある曲ですが、いわゆるサブボス的な扱いのバトルで使用される汎用ボスバトル楽曲です。 全編では無いにせよ、ヴァイオリンの技巧的なソロをフューチャーしている点も「理を司る者」に若干似た構成になっていると言えるかもしれません。 音楽的には、その立ち位置どおりシナリオボスでは無い場面でかかる曲なので、主人公達の心情や使命感にフューチャーするというよりかは、ボスの威圧感や強大さを表現する事が大事になる為、とにかく冒頭から圧力の高いフレ

悪の奔流/ノーマルバトル3

Tr5-7 悪の奔流この曲僕はハーヴェイのイベントシーンを見ながら作ったのでそのイメージがめちゃめちゃ強いんですが、皆さんはどの悪役を思い浮かべるでしょうか? シナリオの中でも特に黒幕に近いキャラの、クライマックスに近いシーンを想定して書きました。 1:01からのストリングスのメロディを1:29から更にトランペットでユニゾンするのがこの楽曲のキモだと思っています。 「悪の奔流」という楽曲名ながらも、そのメロディがどこか哀愁も感じさせるような雰囲気なのは、巨悪はただ邪悪なだけ

その集落は砂の行く先/業の棲み処

Tr5-4 その集落は砂の行く先 昼/夜タウン曲で一番のお気に入りは「都に吹く、緑の風」と先日書きましたが、早速前言を撤回いたします…(笑) この曲との同率1位でお願いします…m_ _m ローテンポのしっとりした曲ですが、特にメロディが気に入っている曲です。日本っぽさも中国っぽさもどちらも感じるようないい具合のオリエンタル感のあるサウンドと、ホロリと来るサビのフレーズが上手く作れたかなと思っています。 この楽曲は使用している楽器にも特徴的が有り、昼ver.では揚琴(ヤンチ

悠久の遺跡/背中を押して

Tr5-2 悠久の遺跡今回のダンジョン曲の中では一番のお気に入りかもしれません、 HD-2Dの幻想的なビジュアルも相まってゲーム内で思わず立ち止まってしまう事の多いエリアです。 曲の発想のスタートは全体的に配置されているDmのドリアンスケールで(レミファソラシドレという音階で、Dmのナチュラルマイナースケールは本来シがフラットするのですがシがナチュラルするものをドリアンスケールと呼びます。)淡々とこのスケールが続く上にメロディが展開していくと面白い曲になりそうだなと思い、こ

海洋バトル

Tr5-1 海洋バトルいよいよ楽曲解説もディスク5に突入ですね! 終盤という事もあり、ここからは更に濃密な楽曲達が続きますが、頑張って執筆していきますので、引き続きお付き合いください💪 オクトパストラベラー2で新たに実装された船の旅、それに合わせて海洋フィールドでのバトルも追加された為、今回それ用にバトル曲を書き下ろしました。 このカテゴリは1では無かったものなので、そういう意味ではノビノビと楽しく書けた曲かもしれません。 音楽的な話でいえば、サウンドは全体的にケルトを基

希望/智慧と芸術の都

Tr4-19 希望この曲は宮内Dからの発注時点では 「-希望- 明るさ。小さな希望が見える瞬間」 という簡潔な文章だけが書いてありました。(まぁ他のイベント曲も同様に何かしらの熟語とそれを補足するような極々短い説明分しか無いんですけどね、そこから想像を膨らませていくわけです。) この曲で表現しないといけない事は「希望」である事は間違い無いのですが、それだけだと範囲が広すぎて、どんな「希望」を表現すればいいのか明確では無いですよね。 「希望」という表現は大事にしつつも、この曲

峡谷が閉ざす村/都に吹く、緑の風

Tr4-15 峡谷が閉ざす村 昼/夜本作の無印良品枠です(笑) オクトパストラベラー1でいう「崖下の村オアウェル」のような、荒涼としていて少し寂しげな雰囲気のあるタウン曲というイメージで作りました。 メロディを演奏している楽器ですが、それがリコーダーだと気付いた方は結構少ないんじゃないかと思います、我々が小学校の音楽の授業で慣れ親しんだ楽器が、プロの手に掛かればこんな素敵な雰囲気を奏られるんだと、いざマジマジと見せられると驚きを禁じ得ませんね(笑) 夜ver.ではメロディ

決戦2

Tr4-14 決戦2皆さんの中にはこの曲の解説をお待ちしていた方もいらっしゃるのではないでしょうか、「決戦2」の楽曲解説です! 「決戦1」はオーケストラを主体としたサウンド、「決戦2」はロックを主体としたサウンドの方向性にしているという解説は既にしたかと思いますが、やはりRPGのロックサウンド・バトルミュージックはそのタイトルの「花形」、絶対に外せない曲の1つなのです。 そしてそんな花形楽曲を構成する為の最重要要素の2つをここで解説します、まずは「極上のイントロ」ここに命を

幽玄なる森/策謀

Tr4-12 幽玄なる森4曲ある本作の汎用ダンジョン曲の中で、この曲はタイトルの通り主に森系のダンジョンで流れます。 やはりこの曲も、オクトパストラベラー1の「森ダンジョン」と基本のコンセプトは同じで、RPGの森エリアの持つ独特の妖しさや静謐な雰囲気を表現出来るよう心がけています。 冒頭から淡々と演奏されるギターのアルペジオと、中低音の音域で朗々と演奏されるローホイッスル、そこにユニゾンで重なってくるティンホイッスル、そして空間を切り裂くようなインパクトのパーカッションが順

降る白雪の町村/悲しみ溢れて

Tr4-9 降る白雪の町村「ウインターランド地方」「希望なき極寒の地」と、本作でも色々な雪景色の音楽を作りましたが、この町の曲も全体的なテイストとしてオズバルドのキャラクター性を反映した、少し物悲しい雰囲気のある楽曲になっています。 しかし、前者の2つの楽曲と比べて、少し希望も感じるような、静かに静かに降り続く粉雪、のようなイメージで作曲しました。 Tr4-11 悲しみ溢れて悲しい系の汎用曲は今作も何曲かありますが、この曲に関してはジワジワと悲しみが広がっていくイメージとい

火急/棄てられた都

Tr4-6 火急タイトルの通り、何かしらの事件が起きた時に汎用的に流せることを想定したイベント曲です。 バトルほど盛り上がりはさせず、でも緊迫感は保たなければいけないというこういった汎用楽曲なりの難しさのある曲でしたが、良い落としどころに落ち着けたのではないかと思ってます。 Tr4-7 棄てられた都昼/夜大きく印象的な月をバックに、ゴンドラに乗った先に辿り着くロストシードで聞く印象的な楽曲かと思います。 シチュエーションも相まって少しホラー感すら感じるような街ですが、音楽も

秘密の楽園トロップホップ/蒸気の鼓動ロック島

Tr4-2 秘密の楽園トロップホップ昼/夜僕はRPGのこういった南国の雰囲気のタウンの楽曲といったら真っ先にFF7のコスタ・デル・ソルを思い出すんですが(笑) そのイメージが強いからか、南国といったらボサノヴァでしょう!というだいぶ捻じ曲がったRPG音楽感によりこういった曲調になりました。(実際どうなんでしょう、みなさんRPGの南国的なエリアの曲ってどんなものを連想しますか?) そもそも、ボサノヴァは南米を起源とする音楽ですが、全体的な雰囲気としてどこか気怠さというか、空気

ノーマルバトル2

Tr4-1 ノーマルバトル2オクトパストラベラーのバトル曲は序盤・中盤・終盤と3種類の通常バトル曲が用意されていて、ストーリーの進行と共にバトル曲も変化する仕様になっています。 この「ノーマルバトル2」は中盤にあたる楽曲で、序盤からの変化を感じてもらう為の重要な役割があります。 特にそういった変化を感じてもらうのに一番重要なポイントはイントロかなと思っています。 オクトパストラベラー1の時の「バトル2」もイントロで、おやっと思われた方いるんじゃないかと思いますが、この曲でも

決戦1

Tr3-22 決戦1いよいよきましたね、ボスバトル曲! 決戦1はオクトパストラベラー1における「ボスバトル1」にあたる曲です、曲名は紆余曲折宮内Dと検討を重ねた結果、1と被らない形で、且つシンプルな曲名で行こう!という事で「決戦」とする事になりました。 ノーマルバトル1の解説の時にも書いた通り、雰囲気は1をある程度踏襲している形になりますが、1とはまた違った雰囲気を楽しんで頂けたのではないかと思います。 2曲ある中ボス曲では1をオーケストラ調、2をロック調、という住み分け