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海洋バトル

Tr5-1 海洋バトル

いよいよ楽曲解説もディスク5に突入ですね!
終盤という事もあり、ここからは更に濃密な楽曲達が続きますが、頑張って執筆していきますので、引き続きお付き合いください💪

オクトパストラベラー2で新たに実装された船の旅、それに合わせて海洋フィールドでのバトルも追加された為、今回それ用にバトル曲を書き下ろしました。
このカテゴリは1では無かったものなので、そういう意味ではノビノビと楽しく書けた曲かもしれません。

音楽的な話でいえば、サウンドは全体的にケルトを基調にしていますが、メロディの方向性はヴァイキングの音楽をイメージして作っています。
ケルト音楽とヴァイキングは直接の文化的な繋がりは無いようですが(ザッと調べた程度なので専門的な事はわかりません、すみません。)、ヴァイキングの主人公の話を扱ったアニメ映画「ヒックとドラゴン」でもケルト音楽がモチーフとして多く使われていたりと、音楽的な親和性はとても高いように思います。
括り的にも北欧という括りで考えればそこまで遠い音楽では無いですしね。

リズムの面の話でいうと、海賊を表現する音楽で世界で一番有名かもしれない曲、パイレーツオブカリビアンの「彼こそが海賊」は12/8拍子なのですが、3連系の拍子が波の上で躍動するリズム感を表現するのにやはり親和性が高い部分が有り、この「海洋バトル」も6/8拍子でメロディを作曲しています。

そのメロディの話を更に深掘りすると、以上のような方向性で作ったメロディをアコースティックギターの低い音域でメロディを奏でています。
この音域は声楽でいうと男性のバリトンくらいの音域で、メロディを奏でるにはちょっと低い音域になります。
しかしそれがまた、荒々しい海の男達の歌みたいな、いい意味での野蛮さというか野太さを表現出来るかなと思い、敢えてあまり使わないこの音域でメロディを奏でています。
しかし、それだけだとやはりメロディとして主張が少なすぎて、あまりポップでは無い音楽になってしまうので、高音域でユニゾンする形でティンホイッスルのメロディを重ねています。

サビのメロディに関しては、ヴァイオリンソロの超絶技巧のような、メロディというよりは早弾きのフレーズを前面に置きつつ、バックを支えるストリングスがサブメロディのような主張の程々に強い旋律を奏でることによって、その合わせ技でインパクトを出すという構成になっています。
「ノーマルバトル」のような、いわゆるメインのラインに存在するバトル曲でこういったテクニカル寄りの表現をするのは結構賭けの要素が大きいのですが(メインのラインにあるバトル曲はやはりある程度王道の構成を担保する必要があるので)、海洋バトルというサブ要素の強い楽曲だからこそ、こういった表現が許されるのではないかと思いこのような着地点となりました。

冒頭でノビノビと作曲したというのは、以上のようなある程度自由の許される曲という面はとても大きく、作品全体を通した時にこういう曲があってもいいよね、という立ち位置の曲はとても作りやすいし、面白いコンセプトを詰めやすくなります。
聞いてくださる方の中にも、メインのラインではなく、こういったコンセプト系の曲を好きだとおっしゃってくれる方も多くいるので、バリエーションとしてこれらの曲がラインナップの中にあるのはとても大事な事だと思います。


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