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激戦

Tr5-9 激戦

1の「理を司る者」に近い立ち位置にある曲ですが、いわゆるサブボス的な扱いのバトルで使用される汎用ボスバトル楽曲です。
全編では無いにせよ、ヴァイオリンの技巧的なソロをフューチャーしている点も「理を司る者」に若干似た構成になっていると言えるかもしれません。

音楽的には、その立ち位置どおりシナリオボスでは無い場面でかかる曲なので、主人公達の心情や使命感にフューチャーするというよりかは、ボスの威圧感や強大さを表現する事が大事になる為、とにかく冒頭から圧力の高いフレーズがずっとテンションを落とさず続き、緊張感を保つ事が重要になります。

冒頭のストリングスのフレーズは増音程を含むアラビア的なスケールで展開され、そのスケール自体がとても緊張感を持っている為、コーラスの雰囲気と相まって強大な敵が現れた事を想起させる効果があります。

その後0:39のあたりからフィルインと共にドラムのビートが加わってきますが、それ以前はオーケストラスネアなどの所謂シンフォニックな楽器がリズムを取っていたところで、途中からこういったバンド楽器のリズムに変わる事で緊張感から一気に白熱したバトルの雰囲気に移行していきます。
こういった展開は1のボスバトル1でも使っていましたが、シンフォニックとロックの融合といった、如何にもRPGのバトル楽曲という取り合わせで、他のジャンルではあまり見られない独特なアレンジ法かなと個人的には思っています。

こういったオーケストラ楽器とバンド楽器の融合に関してですが、
実際には、例えばコンサートホールでオーケストラとドラムを一緒の舞台に並べ、その音を客席で聞いた際には、実はこういった音のバランスにはならなかったりします。
配置的にオーケストラの後ろにドラムが置かれることになるので、もっと調和した形でオーケストラの一部としてドラムのサウンドがする感じになりますが、この曲ではドラムは全体の中心にいて、ドシっとオーケストラのサウンドを支える感じに配置されています。
そういった実際の音の配置では起こらない嘘を、レコーディングで別々に録ることによって実現出来、それがある種のRPGのバトル音楽らしさを演出している一要素であると言えると思います。

また、2:02〜のあたりからはバロック音楽を想起させるようなサウンドの箇所があったりと、冒頭のアラビアン的雰囲気、からのドラムが入ってロックな雰囲気に移行し、その後バロック音楽的な部分が登場したり、1:49〜からはエレキギターのメロまで登場するという、いい意味でのごった煮感が、この曲の構成を支えている大きな要素と言えると思います。

RPGのボスバトル楽曲らしさがふんだんに詰まった1曲と言えるかもしれません。


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