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アタマのおかしな校長

先日、ある方から「アタマのおかしな校長」と言われ、ナノ(10⁻⁹)レベルのショックを受けたのですが、よくよく考えると、かのスティーブ・ジョブズ氏も“ STAY FOOLISH ”と言っておられるとおり、世の中に変革をもたらすのはだいたいアタマのおかしな人たちだし、成果と知名度はともかく、これまでの常識にとらわれず学校改革に励んでいるつもりの私としては、ギガ(10⁹)レベルの励ましを受けたものと、大変光栄に存じている次第です。

社会は進化してきました。生物が突然変異を原動力として進化してきたのと同じように、やはり社会も突然変異を原動力として進化してきました。そして、突然変異の実体は何かというと、それは「エラー」と「外れ値」だと思います。

教育まわりでは、「そんなことでは社会で通用しない」「このままでは社会に出たときに困る」という御親切な言葉をよく耳にしますが、これは「人は社会に適応すべきもの」という固定観念が前提となっており、変異は許されないもの、つまり、「エラー」は取り除かれるべきで、「外れ値」は無視されるべきものという考えにつながっています。

もし、すべての人が社会に適応してきたならば、人類は今も旧石器時代から抜け出せないままだったはずです。ところが、現実はそうではなく、社会は進化してきました。

社会に適応しなかった人たち、つまり「エラー」や「外れ値」を実装したアタマのおかしな人たちこそが、より豊かな生態系、よりウェルビーイングな人間生活をここまで創り出してきたのです。

そう考えると、学校が果たすべき役割は、社会に通用する人を育てることではなく、今ある社会に違和感や困りを覚え、社会を変革していける人を育てることなのかもしれません。

「アタマのおかしな校長」ではありますが、そこは周りの教職員、生徒及び保護者のみなさまがしっかりと支えてくださっています。日頃の御支援に厚くお礼申し上げます。

京都府立清明高等学校PTA会報『想』Vol.18(2023/9)より


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