ちょっと変な旅 敦賀・金沢 3
【3日目】2/11(日)
百萬商店 近江町市場店 → 近江町市場 → Vacation Rent 金沢 → PETRA BAKE&COFFEE → SAKE SHOP 福光屋 → 東山茶屋街 → 鮨処 あさの川 → Vacation Rent 金沢▲
連泊は寝坊ができるからよい。せっかく金沢まで来たのに寝坊とはいかがなものかという気もちも少しはあるが、最近はそういう贅沢もいいもんだと思えるぐらい、生き方に余裕が出てきた。
しかも、起きてからはベッドの上で11時まで清水義範の『蕎麦ときしめん』という金沢とは何のゆかりもない、というか金沢のしっとり落ち着いた風情とは真逆といっていい名古屋とのゆかりがありすぎるエッセイを読んでいた。
これこそ、贅の極みだと思う。
最近は歳のせいか、夜中の2時や4時に目が覚めてその後なかなか眠れないということが多いのだが、旅行だとなぜか、朝までぐっすり眠ることができる。そういうこともあって、軽く寝坊を許している。
11時過ぎに宿を出て、歩いてすぐの近江町市場を歩いた。さすがに日曜日は午前から人であふれかえっている。
まずは“百萬商店”へ。雑貨やオリジナルグッズなどの土産物を売っているお店だが、ボクのお目当ては店頭にある“CRAFT BEER STAND”だ。
実はここのビール、ぜんぜん知らなかったが、石川県ではなくて富山県にある“城端(じょうはな)麦酒”というブルワリーで醸造しているらしい。調べてみると、城端は「越中の小京都」呼ばれているそうで、それはそれで、また次の旅情をそそられる。
Aセット(かがやき・ひきやまブラック・ゴールドレイン・はかまエール)をいただき、お店のスペースで立ち飲み。寒いのでビールはいつまでも冷たいままなのはよいが、体まで冷たい。
立ち飲みスペースのカウンターにビールを置くと、ちょうど市場の四つ角を眺める形になり、国内外の人たちがめいめいにショッピングや食べ歩き、順番待ちをしている様子が見えるのだが、みんなとても幸せそう。
それにしても、こういう市場の雰囲気って、インバウンドでずいぶん変わってしまった。
京都の錦市場や大阪の黒門市場もそうだけど、最近は外国人向けの観光地と化し、まるでテーマパークのような薄っぺらい感じになってきている。しかも、あまりの人の多さに近づく気もしない。
もともとは、庶民の生活を支える台所を覗き見したくて観光客が迷い込んでいた感じだったと思うのだが、今は釧路から牧志まで、並んでいる食材のちがいは多少あるとはいえ、いわゆる市場というものからはずいぶん異質な空間になってしまった。
だいいち、買うところとうよりも食べるところになっているし、居心地がよすぎるというか、はりぼて感も垣間見えて、ちょっとしらけてしまう。
まあ、ボクもバルセロナやヘルシンキ、ホーチミンなどに行けば、同じように観光客として食べ歩きを楽しんでいるのだから、えらそうなことは言えないのだけれども・・・。
ビールを飲み干してから商店街を歩き、生麩田楽、ベニズワイガニの甲羅載せ、小エビのかき揚げ、サバふぐ唐揚げ、金沢カレーパンを買い回り、“酒の大沢”でビール・お酒を買って、部屋に戻ってランチとする。
“手取川”で有名な吉田酒造店の“吉田蔵u”。微発砲の無濾過生原酒。大好きです。
ランチ後、小休止のあとアメリカンをいただき、バスで小立野へ。
たどり着いたのは、1625年創業、金沢で最も長い歴史をもつ酒蔵“福光屋”。
ここは、予約制で数種類の蔵元見学を開催されている。今回、申し込んだのはは午後3時からの“唎き酒 プレミアムコース”で、ボクたちの他には、2人×2組と1人。合計7人が参加。
まずは、仕込み水として使われている“百年水“までご案内いただく。
白山の麓に積もった雨雪が、100年もかけて酒蔵の地下150mに辿り着くんだそう。
お店に戻り、『酒蔵物語』というビデオを鑑賞したあと、いよいよ試飲スタート。銘柄は、“加賀鳶 いかづち純米大吟醸”、“初心山廃純米大吟醸”、“百々登勢五年長期熟成純米酒”。
ボクが気に入ったのは真ん中の“初心(はつごころ)”。山廃の1年熟成酒で4合瓶が5,500円。10年ものもあるけどさすがにボクには無理。いろいろお話を聞きながら、充実したひとときを過ごせた。
お店を出て、今度は浅野川大橋近辺を散策。
しばし散策してから、6時に“鮨処 あさの川”へ。主計町にある、格子も美しい一軒家のお店。
夜はおまかせ一択。カウンターに陣取り、ご主人の手さばきを眺めながら、小鉢、前菜、お造り、お凌ぎ、握り、手巻き、汁、デザート。もう、なにもかもおいしい。お酒もたっぷりいただいた。
このお店、以前、NHKの『美の壺』でも紹介されたとのこと。大満足だったので、バーなどには寄り道せず、夕食の余韻を楽しみながら主計町茶屋街を抜け、歩いて宿に戻った。
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