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ヨーロッパの街並みを歩く旅#2    <1日目> 憧れのパリス ②

私が降りたところはSaint-Denisという、薄暗くて雰囲気の悪そうな場所でした。華やかなイメージのパリはどこにも見当たりません。その日の宿から離れた場所で、もうおそらく人生で戻ってこないだろうと思ったのでその周りをうろうろして見てみることにしました。
 少し歩くとお店がたくさんあるところに来ました。食品、衣服、電化製品など、いろんなお店が野外でものを売っていました。黒人やインド系の移民が多かったです。私は人種差別主義者ではありませんが、そういう場所は初めて行くときはやはり少し怖いです。写真を撮ってシャッター音がなったら彼らの注目を集めてしまうのではないかと思うと写真は撮れませんでした。
 道はかなり人で賑わっていました。友達からパリに行くときはスリに気をつけろとさんざん言われていました。パリに行くという話をする度、皆がそう言います。ですから私もそこでは特に細心の注意を払っていました。
 特にやることもなかったのでとりあえず大聖堂を目指すことにしました。賑やかそうな道を通って聖堂に着きました。割とどこにでもありそうな、何とも言えない聖堂でした。

Sant Denis大聖堂


 そこで少し休憩した後、晩御飯を食べようと思いました。宿のAirbnbの説明には一度チェックインしたら基本外に出てはいけないことになっていたので、少し早かったですが、何か食べるものを探しました。ケバブやハンバーガーなどもありましたが、パリでの出費はできるだけ抑えたかったので、スーパーマーケットで買うことにしました。フランスは初めてなのでどれがスーパーかわかりません。グーグルで調べてfranprixという店が近くにあったのでそこに行くことにしました。少し小さめでしたが、商品がぎっしり並んでいて圧迫感がありました。
 商品を見ていると怪しげな黒人のおじいさんに話しかけられました。怪しい感じのしゃべり方で怒っているようにも見えましたが、私はフランス語は全くできないので会話できませんでした。水と大きめのサンドイッチを手にとってレジに並びました。レジも若干オランダと違ったのと、フランス語が分からないので少し戸惑いました。噂には聞いていたけどフランス人は本当に英語をしゃべらないんだなと実感しました。

スーパーを出た後、お店が並ぶ人通りの多い通りを通って路面電車の駅を目指しました。商品を見ていると売りつけられるのが嫌だったのでまじまじと見ることなく通過しました。活気のある移民街といった感じで、大音量でヒップホップをかけている人や楽しそうに話している人がいました。

Saint-Denisの賑わってたところ


 駅の近くに座るところがあったので腰を掛けてさっき買ったサンドイッチを食べました。ツナの入っていて、量が多いだけでおいしくなかったです。本当に雑な味でした。食事中も隣に座っている人たちや通行人は移民系ばかりだったので、荷物には気をつけなくてはいけませんでした。

 路面電車の駅に着くと、電車の乗り方がわからず、少し困りました。切符を買うところが見つからなかったのでとりあえず乗ってみることに。車内はぎゅうぎゅうでした。インド系の人が多く乗っていて、そこでまた友達の友達がスリにあった話を思い出しました。
 途中の景色も発展途上国といった雰囲気のコンクリートでできたすぐ壊れてしまいそうな建物がたくさんある一方、建設中で幕で覆われているものもありました。ものすごく高いビルなく、少し離れれば一気に田舎になりそうな雰囲気でした。ところどころに安そうなレストランや散髪屋がありました。歩いている人もここまでほとんどヨーロッパ人のイメージのようなヨーロッパ人はいませんでした。

 Saint-Denisから宿のあるBobignyという場所に着きました。閑散とした静かな場所でした。コンクリートがむき出しの建物が多かったです。ただ、ところどころに現代風のガラス張りの建物もありました。降りた場所のすぐ近くにBobigny-Pablo Picassoという名前の地下鉄の駅がありました。ピカソと関係があるのかなと思いました。
 

Bobigny Pablo Picasso駅周辺


 そこから歩いて宿に向かうことにしました。バックパックは重いし、疲れていたけど頑張りました。途中にさっきのfranprixというスーパーとハラル系のファストフードレストランがありました。3泊するのでいつか行こうと思っていましたが、結局行くことはありませんでした。
 閑散としていましたが雰囲気はさっきの地区よりは明るい感じでした。幼稚園のような場所もありました。Airbnbで指定された場所に行ってみると小さめの公園があって何人かの子どもが走り回っていて、大人たちが話していました。もう午後7時ごろですが、緯度が高いのでまだまだ日は落ちません。その公園の奥にあるのがどうやら今日の宿のようでした。かなり古い建物で、ガラスの扉は開きそうにありませんでした。
 その場所に着いたらホストに連絡するようになっていたので写真を撮って状況をメッセージで説明しました。すると今いる場所が建物の裏側だという事がわかりました。ただ、その入り口を探すのも大変でした。その辺一帯がビルでつながっており、内側に入らなければならないからです。

黄色のマークが指定された宿で、私はその外側の通路側にいました。しかし、どうやって内側に入ればよいかわかりません。見ての通りGoogleマップには入り方は書いていないし、入り口は二階にあり、どこかで階段を上がらなくてはいけません。私はとりあえず周りを歩いて階段を探すことにしました。すると意外とすぐに見つかりました。
 階段を上がった先は広場になっており、周りの建物の入り口に行けるようになっていました。人はいませんでした。見るからに古い建物には部屋があり、洗濯物が干してある場所もありました。私の宿は一番右奥にある建物でした。ここもどうやらアパートのようです。入り口に着いたのでホストに連絡するとパスワードと部屋までの入り方が送られてきました。一枚目の重いガラスの扉はパスワードで開きました。そして中に入るともう一枚ガラスの扉があり、その奥がロビーのようになっていました。人気がなく、薄暗くて気味が悪かったです。左側の壁にインターホンのようなものが付いていて、それでホストの部屋に連絡して開けてもらうようです。なかなか使いにくい機械でホストの番号を見つけるまで少し時間がかかりました。扉を開けてもらい、指示通りエレベーターに乗り、上の階に上がりました。階に着くと、廊下は真っ暗でした。本当に気味が悪いです。私はスマホのライトをつけて部屋の扉を探しました。エレベーターを降りて廊下をまっすぐ進んだ先にありました。扉をまで真っ暗な廊下を歩いている途中でその扉が開きました。背の低い中国人のような人が「come!」といって私を呼びました。私は恐る恐るその部屋に入っていきました。

 中はとても静かで薄暗かったです。数位白いカーテンがあり、その奥に二段ベッドが4台ほどある部屋がありました。とても狭い部屋です。その中国人から静かにするように言われました。どの人は一部始終怒ったような顔をしていました。どうやらその人は英語が苦手なようです。オランダにいる外国人で英語が喋れない人は見たことがなかったので、少し驚きました。私は二階に連れていかれ、トイレやシャワーの説明を受けました。共用の押し入れのような場所にバックパックを入れました。鍵はないので貴重品は自分のベッドに持っておかなくてはなりません。階段を上がって左側に廊下を挟んで部屋が二つあり、奥にトイレとシャワーが一緒になったバスルームがありました。私は奥の部屋に案内されました。電気はついてないけど、窓からまだ少し日差しが差し込んでいて明るかったです。扇風機も回っていて快適でした。細い白い金属の二段ベッドが右側に二つ、左側に一つあり、私のは右奥の上の段でした。他のベットで上裸のヨーロッパ系の男があおむけになってスマホを触っていました。私の下のベッドはカーテンがかかっており、誰かが寝ているようだったので起こさないように細心の注意を払って上がりました。

 ベッドに横になりようやくくつろぎを感じました。オランダにいる友達に今日起こったことなどを報告しました。旅をしていることをとてもうらやましがられました。
 することがないので風呂に入ることにしました。貴重品は念のため風呂場まで持って入りました。シャワーを浴びて、濡れたタオルを押し入れにあるハンガーを勝手に使って干しました。一度ベットに戻って1時間ほど経った後、寝る前に歯を磨いてトイレに行こうと思い、バスルームに行くと二人ほど並んでいました。二階の二つの部屋に一つのバスルームしかなく、誰かが風呂に入っている間はトイレは使えません。本当に不便です。しかも2,30分たっても中の人が出てきません。前の人と話して一階のを使おうとしましたが、さっきの中国人が許してくれませんでした。その後、5分ほど経った後、ようやく中の人が何食わぬ顔で出てきました。
 歯磨きとトイレを終わらせ、再度ベットに戻りました。とてもながいながい一日でした。明日はエッフェル塔でも見に行こうと思いながら眠りにつきました。

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