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ビジネス(安全・安心・便利・快適)でアート(芸術)的体験を求めるな、という話

私は、幼少期から何かクリエイティブなことをしたいと思っていた。世間をあっと驚かせるような体験を作りたい、と。

そして、それをビジネスでやるという道筋を当然のことととして考えていた。本当は、それは芸術など表現の領域で扱うべきことなのに。

なぜか?

おそらく2つ原因がある。

1.世の中がグローバル資本主義で動いており、生きる=お金を稼ぐ行為が必要という社会なので、ビジネスを自然と検討していた。さらに父親が小さな会社の経営者だったのも影響しているだろう。

2.多感な時期にITブームがあった。私は2000年に14歳、2005年に19歳という年代であり、当時シリコンバレーが破壊的創造的イノベーションなどいうような言葉で世界を変えるみたいな流れがあり、インターネットの可能性に人々が興奮した。私も例にもれずインターネットを使ったビジネスで創造的なことをしたいと考えるようになった。

というような背景で起業家として創造的なことをしたいと考えるようになったのだろう。

しかし、30歳を前にしていろいろな経験をしたり読書を通じて、小説家や哲学者、映画製作などいわゆるアート領域のほうが自分がやりたいことができる気がしてきた。

「いままでなかった凄い体験」を作りたいと考えてきたが、ビジネスでこれを扱うのは難しい。なぜなら、ビジネスは反復して同じ体験を再生産し続ける組織であるから、一般化され大量供給するものを作る、という枠組みになってしまうからだ。

そのためにはニッチ市場を攻めるにしても一定数の人間にニーズがある、彼らの課題を解決するような商品が必要になる。こういう領域は、安全・安心・便利・快適の価値が基本となる。

一方で、一回性の体験で心を動かす体験を創造したいなら、それは芸術だ。芸術は多くの人に理解して貰う必要はない。ニーチェのように自分が生きた時代には報われなかった人もいる。ただただ、自分を表現し、創造する。もちろん、そこには世界や社会、人間についての探求も不可欠だ。

私はこれからもビジネスと芸術を続けていきたい。グローバル資本主義社会で生きていく以上、ビジネス活動は必要であるが、それと芸術はごっちゃにしないでそれぞれの領域のルールを理解しよう。ビジネスは一定数のニーズを創造することを芸術性を求めすぎず行い、芸術はニーズなど考えずに思い切って創造し表現する。



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