日本経済のボトルネックは労働市場の流動性
日本経済が低迷し、デフレが続き、円安に向かっているのは経済力が落ちているからだ。そして、経済力とは、国内市場のみならずグローバル市場で本質的に価値あるものを作れる能力である。と前に書いた。
日本の構造的な一番の問題は労働市場の流動性にあるのではないか?
別の言い方をすると、解雇ができない契約、そもそもどんな価値を提供してその対価として金銭的報酬をもらうという契約概念が弱い。
インフレが起きないのは、価値ある仕事をしている人が、それに見合う報酬を得ていないという理由も大きいのではないか。
平均年収500万円くらいの会社があるとして、実態としては一部の人が1500万円くらいの報酬に見合う仕事をしていて、一部は50万円くらいの報酬の仕事をしていないこともあるだろう。私は新卒の会社でまさにそれを見た。
2千〜3千万円くらいの年収を得ている人が増えれば、良いものへの支出は増え、インフレ傾向になっていくだろう。
無期雇用というのがおかしいのだ。プロジェクトベースでないと正当に仕事を評価できない。セーフティーネットは、会社が提供するのではなく政府が提供すればいい。
数年のプロジェクト単位で契約社員や業務委託という形で人を集めてくればよいのだ。
ただ、これは会社としてもそのように人材を集めるのは、仕事の定義や報酬体系に不慣れなため難しいし、一方の人材のほうも、そのような自己PRに慣れていないし、そもそもこのように流動的に動ける人の絶対数物少ない。
この流動性の問題を解消するには、雇用側と人材の両方の意識と行動が一気に変わらなければならない。どちらか一方だけ変わっても、サステイナブルではない。
どうやったらいいのだろうか。
まずは、会社がセーフティーネットを提供するための無期雇用するのをやめるべきだ。
環境変化が激しい中、ある人材を常に価値化できるような事業など存在しない。その現実を直視した会社や社会のあり方に変わるべきだろう。
ただ、もちろん、長期の雇用が前提となっているからこそ、長期的な視点でプロジェクトに取り組めたり、チームの関係性を構築できるという利点もある。