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スティーブ・ジョブズがすごくない世界線

私はmacユーザーだし、アメリカや中国で生活した経験から、スティーブ・ジョブズの人気をよく知っているが、スティーブ・ジョブズのフォロワーではない。

その行動力や、実行力、目標達成力には脱帽するが、感性的にはあまり凄いと思わない。

なぜかというと、まず、大前提として、ビジネス界の成功者は、時間軸に制限があるということ。

ビジネスを成功さえるには、創業メンバーや、客、従業員、投資家など多方面からの支持を得る必要がある。

それゆえに、ある程度顕在化されたものしか扱うことができない。そのことには前に書いた。

スティーブ・ジョブズは凄いが、彼がいなくても似たようなスマホは出てきていた。多少使い勝手が悪くても、それは本質ではない。持ち歩けるPCというコンセプトなら大差ない。(もちろん、それを実際にやる人がいないと社会は前に進まないので、彼の存在意義が大きいのは間違いない。今でも宇宙事業などに最前線で挑戦する人への敬意はもちろんある)

一方、ビジネスとは離れた論理で作られたものは、そういう時間軸などの制約を受けない。

例えば、哲学書など、ビジネスとして出版社が儲けるというよりは、社会的意義や自社のブランディングのために(それで金を直接稼ごうとしていないようなもの)作られたものだ。

何が言いたいかというと、私がこれまで生きてきた中で最も心を動かされた商品、サービスは何かというと、ある本だからだ。

いつか詳しく書きたいが、数人の日本の哲学者、社会学者の書籍だ。

映画でもないし、演劇でもない。

私にとって、結果的に本がそういうものだったということは偶然的なことだが、ある程度理由は説明できるかと思う。

まず、本という活字であれば、制作にコストがかからないので、創作者が、ゆっくり時間をかけて作れる。そして、儲かることも気にしなくていい。

さらに、活字というのは、表現としてはもっとも制限が少ないメディアだ。これが映画やアニメなら、制作のために様々なコストがかかるし、やり直しも難しい。

また、ビジネス的な法則ではあるが、ニッチなものほど、人に刺さる。

大衆受けするものより、ある個人にだけズバっと刺さるもののほうが、心を動かされる。こういうものはビジネスど真ん中からは生み出されない。





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