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歴史なしでどうやって社会的な人間性を育むか/デジタルレーニン的監視社会にどう向き合うか/社会が目指すべき方向性

4/21に、與那覇潤さんと宇野常寛さんのオンラインライブ動画を見たので、考えたことを3つまとめようと思う。

1.歴史なしでどうやって社会的な人間性を育むか

歴史学者である與那覇さんが、歴史とかどうでもよくね?という感じに最近なってきたようだ。

みんながみんな今のことしか気にしなくなっている。今がよければそれでいい。

それに、どうせ悪いことやったっていいことしたってすぐに忘れられる。原発でデマを流していたクズ野郎も、今となっては何の問題もなく生きている。そこで倫理的に振る舞った人も5年後、10年後、50年後などに評価されることも期待できない。

他者のことも考えた社会的な行動をどう促せばいいのだろうか。

そもそもなんでそうなったのだろうか。

おそらく時間軸がフラット化したことが問題だ。これは以前、社会学者の宮台真司さんが言っていたことだ。

もう人々は将来劇的に良い未来がくるとは考えられなくなっているということだ。新しい商品とかサービス、社会が変わることなどが、今よりも違う次元に連れて行ってくれるとは考えられない。働かなくてもよくなるかもしれない?それも響かない。それはそれでつまらない毎日なのは想像できてしまう。

それゆえ、もう大きな目標のために今を犠牲にすることはしない。「今」を最大限に楽しむという生き方になる。これは悲観的なものでもない。嬉しいことや楽しいことはもちろんある。でも、時間を犠牲にしてまで手に入れたいものなどほとんどないのだ。

こうして、時間軸がフラット化し、時間軸で成長するような歴史の先のストーリーがなくなる。だから歴史を学ぶ必要もなくなる。

難しい問題だが、私の回答はこうだ。

自由の相互承認を実現する社会をみんなが目指す。

これだけ。

自由の相互承認については以前書いたが、結局個人は原理的に考えると自由の相互承認が実現された社会を目指すことになる。

ポイントだけ書くと、人は結局、自分で他者から承認を得たい。平たくいうと、他者から尊敬されたいし好かれたい。特に、自分が好きな人、そしてその範囲は拡大していく。

正直大部分の人は、そんなストイックなことはできないと感じるかもしれないが、できるひとからやっていけばいいと思う。

2.デジタルレーニン的監視社会にどう向き合うか

個人のプライバシーをお構いないしにデータを吸い上げて社会運営に活かす中国の社会統治。これをデジタルレーニンというらしい。

問題はどこか?もちろん、社会安定のため、幸福のためなどに使われることには賛成する人も多いであろうが、恣意的な利用がなされ個人の自由権が侵害されることは想像に難くない。

これに対抗するにはどうすればいいのか。

私自身も社会を安全にするという意味で政府が社会運営に使うのは問題ない。これで中国の場合、犯罪が減り抑制もされている。コロナのような非常事態にも適切に対応できる可能性が高まる。

仮にポルノサイトを見てたり、犯罪ではないが非モラル的な行為をしたことで危険人物フラグが立ち政府から目をつけられるのは窮屈だ。そんな環境では、自由な発想をしたり、ゆっくり一人の時間を味わえない。

政府のやり方が常に正しいことはありえないから、それを牽制する動きは必要である。しかし、この動きを政府に封じられてしまえば社会は失敗する。そして上述の通り、そんな社会ではみな萎縮して生き生きできない。

私は政府が社会を良くするために監視社会にするのはいいと思う。犯罪は減るだろうし、社会問題が早期に発見され解決もされるだろうから。

一方でプライバシーの問題に対処するために、その吸い上げた情報の利用方法は制限しなければならない。具体的な考えは今は特にない。

これも、自由の相互承認をキーワードに考えると方向性が分かる。

自分が生きたいようにいきたい、他者も同じように考えている。そのせめぎ合いを解消するために、監視社会が必要なら使えばいい。しかし、各人の自由を奪いすぎてはダメだ。そのバランスが重要。

3.社会が目指すべき方向性

社会が目指すのは次のうちどちらだろうか。
(例えば、コロナでトイレットペーパーがなくなったとき)

A
トイレットペーパーを隣人に借りられる人間関係を築いておくような人間を育てる

B
そんな人間関係なくてもトイレットペーパーが手に入る社会を目指すべき

與那覇さんはコミュニタリアン的なAで、宇野さんはBとのこと。

私自身もAだと思うが、そのために高レベルのコミュニケーションスキルは必要ないような社会であるべきだ。これも自由の相互承認。自分に危害を加えなければ他人を尊重することが根付いた社会であれば、いろいろな個性がありうる。多少変なやつでも堂々と生きれて、それをみな尊重する。こういう前提のもと、A。

以上、3点について少し考えた。

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