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社会保障費は『10兆円』抑制しないければならない

 こんばんは。Sagishiです。

 今回は「社会保障費」について書いていきます。


1 国家財政は破綻状態

 まず大前提として、日本の財政が事実上の破綻状態に陥っていることを自覚しなければなりません。上図はR3年度の歳入出ですが、特例国債で37兆円を発行しています。特例的な予算措置である「新型コロナ対策予備費」と事実上帳簿から除外しても問題ない「債務償還費」を除いたとしても、17兆円ほど歳入が不足していることになります。

 つまり17兆円の純赤字です。これを表にまとめると下記になります。

 この状況下において、現在の自民党政権は「防衛費」を5兆円規模からだいたい7~10兆円規模に増やしていこうとしています。また、教育予算も増やしていく意向のようですが、いや普通に無理だって分かるでしょ

 だから「増税をしないといけない」という論理になってしまうのですが、増税をすると個人の可処分所得が減り、企業の経済活動も阻害するため、さらに経済が沈降して、税収が伸びなくなります。

 じゃあどうすれば良いのか。「地方交付税」を削っていく道もありますが、2兆も3兆も行政の無駄を削れるわけではありません。そうなるともう「社会保障費」を抑制するしか道はないです。


2 社会保障給付は異常なほど巨額

 現在の日本の「社会保障給付」の規模は131兆円です。防衛費を5兆から7~10兆とかに増やすのに右往左往していますが、どう考えてもこっちのほうがヤバいでしょ。年金もヤバいですが、医療費だけで40兆も給付(国民にサービスを提供)しているんですよ? 防衛費なんて医療費からすればゴミみたいな金額です。

 現在の日本の「社会保障給付」の規模は異常に巨額すぎます。「被保険者拠出」なんて年40兆円規模ですよ、消費税の2倍も国民の可処分所得を失わせています。これ以上の拡大は不可能です。

 あらゆる政策のなかで「社会保障給付」が最大の問題です。ここを大胆に改革し、「社会保障給付」を抑制しなければ、日本は確実に破滅します。


3 『10兆円』抑制する

 では、どれだけ抑制すれば良いのか計算してみましょう。

 「国債利払」は国債発行/償還の計画に依存するので一旦考慮から除外します。R3年度の歳入出をベースにして、防衛費の歳出を7兆円まで増額させた上で、歳入出が均衡する「社会保障費」の規模を計算しました。

 だいたい26兆円になります「社会保障費=社会保障給付」を『10兆円』抑制しないといけない計算になります。

 今すぐにでも歳出改革をし始めないと、どこかで悲惨な状況に直面する可能性は高いです。そうなる前に、徐々にでもいいので歳出改革をして、社会をスムーズに変えていかないといけません。

 一番怖いのは、現在の状況を放置してある日突如破綻することです。突然医療費が10倍になったり医療を受けられなくなったりすれば、いま病気になっているひとは見殺しです。急激な制度変更の犠牲になるひとの痛みは尋常ではありません。そうならないように、まだギリギリ余裕がある段階から穏やかに改革をしていくことが必要です。


4 実現可能性はあるのか

 では実際のところ、「社会保障給付」を10兆円も抑制することは現実的なのでしょうか。わたしは可能だと考えます。

 例えば、2006年はいまよりも42兆円も「社会保障給付」は少なかったんです。もちろん高齢者が増えたため「年金」や「福祉」に掛ける金額が増えたのは仕方がないことですが、にしてもあまりにも拡大しすぎでしょ。

 どう考えても制度設計の問題で巨額化していると考えるべきです。


4-1 医療費の抑制

 まず第一にやらないといけないのは「医療費」抑制です。マイナンバーを活用することで医療を効率化させ、医療費を抑制すべきです。

 現在の医療はカルテを医療機関ごとに使い回さないので、病院Aから病院Bに転院すると、採血などの検査を2回繰り返さないといけません。はっきり言って無駄にもほどがあります。

 また、病院ごとに薬をバラバラに処方している結果、たくさん薬をもらってきて結果的に使わないひとがたくさんいます。8000億円ほどは自宅で使われずに眠っている薬があるのでは、というデータもあります。

 さらに、現在の医療は「対症療法」的な処方にも多く予算を割いており、最適化されているとはいえません。例えば、湿布とかトローチのような「それ処方する必要ほんとうにあるの? 薬局やコンビニで買えばいいじゃん」的なものにも、保険が適用されています。

 こういった「対症療法」的な処方は、個人の自由で購入することもできるわけで、病院がわざわざ処方する意義がどれほどあるのかと思います。そういうものには、保険負担の割合を5割に増やすとか、そもそも保険適用から除外するとか、もっと最適化させる余地はあるはずです。

 他にも、健康診断や定期検診をもっと国民に活用してもらって、そもそも病気にかからないようにするような「ヘルスケアマネジメント政策」にも、力を入れていくべきです。

 こういった対応を積み重ねることで、医療費の抑制は可能です。徐々にでもいいので、やれるところから政策を進めるべきとわたしは考えます。


4-2 年金の抑制

 年金については、まだわたしは具体案を持っていませんが、厚生年金の支給額について一定程度の上限を設けるべきではないかと考えています。

 そもそも年金というのは、老後(長生きした場合)の最低生活保障としての保険として役割が重要なのであって、1人20万以上も月に支給するのは、ちょっと度を越しているのではと感じます。

 また生活に十分な余裕がある家庭、つまりは老後でもそれなりの所得があるような場合に、過大な年金を支給し続けるのもどうなのかと思います。色々な問題はあるとは思いますが、保険としての機能を最大化するならば、もっと生活に困窮しているひとに厚く支給できるようにすべきと考えます。

 もちろん年金の支給額は物価などに連動している必要性はありますが、ある程度の支給金額の上限や、所得によっては抑えることをお願いするような政策を立案できないかと考えます。


5 まとめ

 もし本当に「社会保障給付」を『10兆円』抑制できれば、わたしは世界が変わると思っています。

 もっと教育予算も増やせるようになるし、科学技術予算も増やせるようになるはずです。投資を増やせれば、経済だってより良くなるかもしれない。

 ここまでこの状況を放置してきた過去は取り返せませんが、これからでも変えていけるはずだと思いますし、少しでも政策を前に進めるために、やれるところからやっていきたいとわたしは思っています。




詩を書くひと。押韻の研究とかをしてる。(@sagishi0) https://yasumi-sha.booth.pm/