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”資本主義の本質は、本来そこに存在しない何かを見せること”読書note92「資本主義と危機」マルクス・ガブリエル他

”新しい資本主義”とか”ポスト資本主義”とか、成長の限界や持続可能な社会といった観点から、資本主義に関する話題が多く挙がっている。それを集約して学びたいと思って選んだ本。半分も理解できてないかもしれないが、断片的には新たな気づきや発見があったように感じるのでメモしてみたい。

マルクス・ガブリエル 資本主義の本質は、本来そこには存在しない何かを見せることにある。錯覚を作り出すシステムである。(中略)資本主義は遅かれ早かれグローバルなサイバー独裁制となる。

GAFA的な所が牛耳るということを指しているのか?

アクセル・ホネット 社会的自由の実現のための民主主義的な意思決定の領域とされる公共圏に参加するために必要な能力は、1.自らを他社から独立させる能力 2.道徳的な自己決定を下す能力 3.自然的欲求を表現し実現する能力 4.分業に貢献する能力 5.他者と熟議することをとおして倫理的-政治的信念を形成する能力である。

人への高い期待が求められる社会になるのか?

ナンシー・フレイザー 資本主義の背景にある可能性の条件とは、1.社会的再生産で、これは将来「資本が必要とする労働力」を生産することで、家庭、女性、教育などの制度的な分断を生む。資本主義社会の構造的な特徴である。2.資本主義経済は、自然のインプット(原材料やエネルギー)なしには考えらない。反対に、廃棄物(例えばCO2)を吸収するたまり場となる自然なしには考えられない。3.市場が必要とする秩序や所有権を守る公的権力を必要とする。

この3つの条件は、今我々が直面している多くの課題を説明している!と感じた。

イマニュエル・ウォーラーステイン 資本主義的世界経済の特異性は、たえざる資本の蓄積にある。資本を蓄積するために、資本を蓄積する。そのためのさらに資本を蓄積・・・時間が経過するにしたがって、多くの問題を生み出す。

資本主義の限界についての言及と考えられる。

ジョン・ベラミー・フォスター 資本主義が今日抱えている経済的な矛盾とは、過少生産ではなく、過剰蓄積である。エコロジー的に見れば、問題は、例えば石油という原料が不足していることではなく、全世界のカーボンバジェットを割り込み、気候的ニッチを破壊し、これを何度も繰り返すに十分なほどの化石燃料を有してしまっていることが問題なのです。

上記の議論の具体的な結果を解説してくれていて、分かりやすい。

我々はどんな未来を選んだらいいのだろう。それに向けて、少しだけだが明るいコトバがあった。

イマニュエル・ウォーラーステイン システムが通常作動するポイントにおいては決定論が優勢である一方、システムが構造的危機にある場合には「自由意志」がより大きな力を持つ。たとえ私たちの祖父母たちが決定論的世界に行き、多くの選択肢を持たず、何をやっても均衡点に引き戻されたのだとしても、いま私たちは比較的「自由意志」的世界に生きており、状況に大きな影響を与えることができる。

厳しい将来が待っているが、私たちの自由意志次第で、変えることができると希望をもっていいのだろうか?

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