とあるゲイの思春期 - [1] 母
僕の子供の頃から10代の頃の経験は、40歳手前になった今思い返しても、まるで悪夢を思い返しているような現実感のない、なんとも後味の悪い不思議なものだった。
物心がついた頃、父は家に帰ってくる事がほとんどなかった。
恐らく3ヶ月か半年に1回、夜遅い時間に僕と母の住む家に立ち寄り、晩御飯を食べて、朝早くにはいなくなっている。態度は横柄で、口が悪く、運が悪いと母と掴み合いの喧嘩をする。
そういう面倒くさいおじさんという認識をしていた。
だから夜遅くに父が家に帰ってくると、とても