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ゲームプロジェクト回顧録 サルゲッチュ3篇②「ガチャメカ」と「変身」

プレイヤーキャラが投手ならステージは捕手

アクションゲームにおいて、プレイヤーが操作するキャラクターが出来ることは様々です。マリオであればジャンプしたり、アッパーでブロックを壊したり、ファイヤーボールを投げたり。
それらは野球の投手能力で例えるならストレート、スライダー、シンカー、フォークなどの持ち玉と言えます。
レベルデザイナーの仕事は、投手であるプレイヤーの能力、球種をうまく引き出してステージというピッチングを組み立てる、捕手のような役割だと言えます。
そこそこ速くてもストレートしか投げられないピッチャーでは、いくら捕手ががんばっても良いピッチングを組み立てることが出来ないのと同様に、
良いレベルデザインをする上ではプレイヤーができるアクションの幅の広さや奥の深さが重要なのです。
サルゲッチュ3においては「変身」がそれにあたりました。
今までのサルゲッチュにはまったくなかった要素です。

方向性としては大きく2つでした。
1、ガチャメカを変身に置き換える
2、ガチャメカはそのままに変身を追加する

ディレクターやプランナーで色々と議論した結果、方向性は2ということになりました。
1はある意味無難ですが、ユーザーにとっては見た目が変わっただけのガチャメカでしかなく、変身ならではの楽しさや新規性が薄いのです。
2で変身をガチャメカを超えたスーパーパワーという位置づけることによって、サルゲッチュ2を遊んだお客さんにもワクワクしてもらえるという結論になったのでした。

私も2のほうが良いと思っていたので良かったのですが、変身の数は減らさず6種類(ナイト、ガンマン、忍者、ダンサー、カンフー、ヒーロー)ということでした。
ガチャメカも初期装備のゲットアミ、メカボーに加えた6種類(パチンガー、サルレーダー、オヨゲッチャー、トビトンボ、メカヨンク、ダッシュフープ)を使えるわけです。
先ほどの野球で例えるなら、めちゃめちゃ球種の多い投手の能力を最大限に引き出してピッチングを組み立てる必要があるわけです。
投げられる球種は全部投げてもらう必要がありますし、一度ではもったいないので、何度か投げてもらうように考えなければなりません。
とはいえ1ステージに要素を詰め込み過ぎると冗長になるので全体バランスも重要です。

レベルデザイナーの腕の見せ所ではあるのですが、悩ましく頭の痛い日々でした。


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