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中期経営計画はいるのか?

Noteで以下の記事を拝読していた際に、信越化学が中計策定を中止したことを知りました。

ちなみに、本題に入る前にこちらのSalazar@銘柄分析さんの記事は企業分析を深くされていて勉強になります。

さて、以前にも、早稲田大学の入山教授が「中計病」の記事を書かれていました。

入山先生の指摘のポイントは、以下の通りです。

〇日本の多く企業で「中計策定」に労力が費やされて疲弊してしまっている
〇出来上がった計画は、現場の声を聞きすぎた「後付けの計画」になっている
〇3年というスパンが中途半端で、サラリーマン社長の在任期間に合わせただけではないか
〇10-20年のゆるがない「長期ビジョン」があって、直近の経営計画に落としこむだけの「振り返り型の中計」であるべきだ

味の素がいち早く中計をやめています。

味の素は、変化が激しい時代の中で3年先の数字を綿密に組み立てることよりもより長期的な「ありたい姿」にフォーカスした「ASV経営」への変換を図っています。

ASV(Ajinomoto Group Creating Shared Value)経営とは、財務的なKPIだけではなく、人的資源、顧客などの非財務的なKPIを高めることをめざした経営を行うということです。

大企業が中計を公表するのには、対外的な信用を高めて株価対策としての意味合いも強いです。

さらに、経営者が在任期間中のノルマ(KPI)として設定することで自身のパフォーマンスを査定項目とすることになります。

それだけに、財務目標数値についてはシビアになりますし、また、現場の達成ノルマとしての目標設定ともなります。

また、精緻に組み上げられた数値だけあって環境変化が大きな乖離を生み、その修正、説明にかなりの労力を割かれることになります。

中計は、日本企業特有と言われています。

でも、米国型のコーポレートガバナンスとの違いも考えると一概に中計は不要とはいえないかもしれません。アメリカで2‐3年の短期目標を公表してしまうとちょっとしたズレが生じただけで経営陣の解任なんてことも起きかねませんが、日本では一般的には株主は寛容といえるでしょう。

ただ、経営企画スタッフが中計作りに疲弊してしまうような「後付け計画」になっているのであれば、入山先生の指摘するようにビジョンやパーパスを中心にした「振り返り型の中計」にシフトすることを検討する価値はあるのかもしれません。

ちなみに、「中小企業に経営計画は必要なのか?」はまた別の議題になりますね。

社長の頭の中で計画ができていて補助金の申請でもしない限り必要ないなんて考えの方もいますが、やはり言語化、文字化することは社員の方向性をまとめる上で意義があるものといえるでしょう。

最後までお読みいただき有難うございます。


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