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コトラーのB2Bブランドマネジメント-第1回B2Bブランディングの意思決定

本書を読みながらB2Bブランディングについて考察してみようと思います。

私自身がB2Bビジネスに従事してきたので、このテーマは非常に取り組み甲斐があると思っています。なぜ、取り組み甲斐があるのかというとそれだけハードルが高いからです。B2Bでマーケティングといっても、限られたユーザーへの活動の中ではCRMをベースとしたものに留まりがちです。また、素材ですと特許技術でない限りコモディティ化してしまいます。企業ブランドとしての信頼獲得の方向性に舵を切ると投資家向けのIR寄りになりがちです。一方で、B2Bの世界でブランドを構築できると非常に強固なものとなって、圧倒的なシェアとプレミアム価格を維持することが可能なことも事実です。本書で取り上げらているIntel、Microsoft, IBM, デル、SAP、シーメンス、フェデックス、ボーイングなどはその好例です。

では、どうすればB2Bにおいて、そのようなブランドを構築することができるのか、本書をじっくりと読みながら考察してみたいと思います。

本書の構成

本書の構成は下の図の通りです。

今回は第一段階のブランディングの意思決定についてです。

B2CとB2Bの違い

B2BとB2Cでは何が違うのか?本書では以下のポイントを上げています。

1 複雑性:産業財においては、買い手も売り手も高い専門性が求められます。

2 バリューチェーンが複雑で需要の変動が大きい:技術革新などで需要が大きく変動します。一方、その分、価格弾力性が低いです。

3 国際性:国際市場での競争となります。地域性を考慮したカスタマイズがそれほど必要ではないです。

4 組織購買:購買の意志決定に関与するメンバーが多いです。

5 顧客数:B2B企業の場合、重要顧客が100人以下であることも珍しくありません。

人的要因の重要性

技術販売の要素が強いと思われるB2Bですが、人的要因の重要性も本書では指摘しています。購買担当者、技術開発担当、そしてのその上司。メンバーの個人的・対人的・組織的要因に関する情報を集めて、彼らのニーズにあったアクションを取らなくてはなりません。

B2Bブランドの関連度

上の図は左側はB2Bの環境の変化。右側はブランドの機能です。ブランドが付加価値、差別化を提供することで、環境変化に対抗できうることを表しています。

環境の変化とは、類似製品が普及、グローバリゼーションによる世界の企業との競争、技術ニーズの高まりによる複雑性の増加。そして、最終消費財の競争による価格圧力です。

一方、ブランド化することができれば、顧客はその製品に関する情報収集が容易になり、購買意思決定におけるリスクを軽減し、また、ブランド化された素材を使用することによる企業イメージの向上という便益を生み出すことができます。

B2Bブランドの役割

上の図がB2Bブランドの役割です。役割自体は、B2Cブランドとも大きな差異は無いです。ここにおいて重要なことは、ブランドが構築されると、購買者とサプライヤーはパートナーに成長します。そして、レンガや鉄のようなコモディティと思われるようなものもブランド化させることができることをアクメ・ブリック、タタ・スチールといった実例が上げられています。だから、B2Bブランドにおいても所有することで誇りを持てるというような感情の役割は大きいのです。

まず第1回でした。少しづつ読み進めながら考察を加えていきます。

最後までお読みいただき有り難うございました!

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