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戦略の創造学ーデザイン思考を戦略構築のベースとする

ドラッカーの経営哲学に基づき、デザイン思考で創造し、ポーターの競争戦略のような経済学ベースの戦略を実行するというテーマで書かれています。
本書では、市場分析に基づく戦略構築という従来の経営シナリオに、デザイン思考をどのように組み込んでいくのかに取り組んでいます。
従来の市場分析においても、その目的は市場ニーズの発見であり、課題解決のための製品・サービスの設計ということになります。では、デザイン思考を用いる事でどのように経営コンセプト、戦略構築の姿が変わってくるのか?それは、デザイン思考の先にある世界観と意味を戦略につなげる事であるとしています。今、起きていることから未来に起きることをイメージして、そこに意味を見つけだします。そのため、市場調査で出た平均的ユーザーのニーズでは将来の意味を見つけることはできないのです。それはあくまで現在の平均的回答をベースにしているからです。現在の平均的マジョリティの欲求を満たすものにフォーカスすると既存の製品の改善という答えに留まります。デザイン思考においては、極端なユーザーにフォーカスをあてています。統計上では、アウトライアーとなりデータから取り除かれてしまいますが、彼らにフォーカスを当てることで何がそのような行動を引き起こすのかを問います。そうすることで平均的ユーザーの行動についても洞察を導き、新しい課題を導くことができると考えています。極端なユーザーの行動から既に起こっている未来が見えてくるのです。
What is our business? → What will be our business? → What should be our business?
現在→未来→そして、あるべき姿(ビジョン)

今、ある製品・サービスから端を発した戦略ではなく、将来の顧客の姿を見つめるデザイン思考を起点とした世界観に基づいた戦略が創造できるはずであると考えています。そのために、必要な前提条件としての資質は、観察力、好奇心、洞察力、深い思考、柔軟性と適応性、聞く耳(対話力)−共感・感動、一体感としています。要するに、右脳と左脳を同時に働かせなくてはならないのです。
以前にご紹介した野中郁次郎先生の「共感経営」と共通点があります。

経営戦略のコアとしてデザイン思考は重要なツールになっています。それにはまず、顧客視点で彼らの中で今起きている将来の姿をイメージすることから始まります。戦略においても、多くのサンプルを市場調査するのではなくて、n=1から得られるインサイトに共感できるかが鍵です。

となると、経営者にとって、投資の意思決定を数値化しにくいものに対して出す必要があるということです。そのためには、顧客の感度を研ぎ澄ませる必要があります。もしかすると日本の成長を支えた本田宗一郎氏のような経営者にとっては自然とできていたことかもしれません。だからこそ、デザイン思考は本質的に重要な事であると言えるでしょう。そのことを認識しつつ従来の戦略構築の分析スキルを掛け合わすことができればさらに強固な戦略とすることができるでしょう。

最後までお読みいただき有り難うございました。


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