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ダチョウ効果(オストリッチ効果)とは?-行動経済学の理解と実践68

ダチョウ効果(オストリッチ効果)とは、問題や悪い情報を避けようとする心理バイアスのことを指します。ダチョウが危険を感じると砂に頭を突っ込んで現実を見ないようにするような行動に由来しています。ダチョウ効果は、リチャード・セイラーとキャス・サンスティーンの『ナッジ:より良い選択への新しいアプローチ』で広く知られるようになりました。

例えば、株式市場が下落している際に、投資家が自分の損失を確認したくないために、証券口座をチェックしないという行動をとることがあります。このような行動は、短期的にはストレスを回避する効果がありますが、長期的には問題を放置することになり、結果的に損失を拡大させる可能性があります。

ダチョウ効果の例

健康診断の際、酒好きの人が注意を受けやすいのが肝機能を示すγ-GTPです。基準値は男性が50IU以下、女性が30IU以下とされており、基準値を超えると注意マークがつきます。基準値を超えて再検査を指導されているにも関わらず、「今は忙しいからあとにしよう」とか、「あの人の数値はもっと大きいけど大丈夫そうだ」と考えて放置することで、気が付くと深刻な状況になってしまうことがあります。このように、問題を直視せずに放置することで、より深刻な事態に陥ることがダチョウ効果の特徴です。

マーケティングにおけるダチョウ効果の活用

ダチョウ効果は消費者の意思決定に大きな影響を与えるため、マーケティングにおいても有効に活用することができます。以下に、ダチョウ効果を活用した具体的なマーケティング手法をいくつか紹介します。

1. リマインダーの活用

ダチョウ効果を利用して、消費者が問題を避けるのを防ぐために、アプリなどで定期的なリマインダーを送ることが有効です。例えば、健康管理アプリが定期的に水分摂取や運動のリマインダーを送ることで、ユーザーが健康管理を怠らないように促すことができます。

2. 簡単なアクションを促す

消費者が直面する問題を避けないように、簡単に実行できるアクションを提供することも効果的です。例えば、金融機関が自動貯蓄プランを提供し、顧客が簡単に登録できるようにすることで、将来の財政問題を回避する手助けをします。

3. サポートの強調

ダチョウ効果を和らげるために、手厚いサポートを提供することも重要です。例えば、オンライン学習プラットフォームが24時間対応のヘルプデスクを提供することで、学習者が問題に直面したときにすぐにサポートを受けられるようにします。これにより、学習者は問題を避けることなく解決に向けて行動できます。

リスクと注意点

ダチョウ効果を利用する際には、消費者を過度に煽ることは避けるべきです。過度な不安を与えると、逆に反発や不信感を生む可能性があります。マーケティングメッセージはバランスを取り、ポジティブな解決策を提示することが重要です。

まとめ

ダチョウ効果は、消費者の心理を理解し、それをマーケティングに活用するための強力なツールです。消費者が直視したくない問題や不安に対して、適切なメッセージやソリューションを提供することで、購買意欲を高めることができます。マーケティング戦略にダチョウ効果を取り入れる際には、バランスを保ちつつ、消費者にとって有益な情報を提供することを心がけましょう。

最後までお読みいただきありがとうございました。


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