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「文章の書き方」を読んで

知人から「文章力を向上させたいなら読んだ方が良い」とすすめられて読んでみました。

著者は、朝日新聞の元記者で「天声人語」を長く担当してきた人です。

特に、大事だなと思った点を中心に書き出していきたいと思います。

本書は3つのパートに分かれています。

1 広場無欲感

最初は、文書を書く上での準備段階としての心構えについてです。
広い円
場(現場)
無(無心、白紙)
欲(意欲)
感覚
の5つの主題で構成されており頭の文字をとって広場無欲感としています。

ものを書くときは準備が大切です。小さな円を描いたのでは、それだけのもので終わってしまいます。はじめから思い切って広い円を描いて準備をすれば、内容の深いものが生まれます。

広い円(P3)

観察力は現場に身をさらすことで鍛えられます。現場でものを見る力、ものごとの急所を見抜く力は、鍛錬によってさらに強くなります。

現場(P26)

現場では心を白紙にして、あるがままの姿を観察することです。現場へ行く前にさまざまな準備をします。しかし、準備はあくまで準備であって、本番は別です。準備した情報にしばられてはいけません。

無心(P33)

見たい、聞きたい、知りたい、学びたい、体験したいというみずみずしい意欲を持ち続けることができるかどうか、問題はそこにあります。

意欲(P57)

感覚を磨くためには、まず第一にゆとりが大切です。心にゆとりがなければ沈丁花の香りにも気づきません。(中略)第二は反復です。(中略)第三は、ほんものにふれることです。

感覚(P60)

2 平均遊具品

2つ目のパートは、文章を書く上での基本についてです。
平明
均衡
遊び
具体性
品格
の5つの主題で、頭文字から「平均遊具品」としています。

今の人に悪口は書けても、いいラブレターは書けない。いいラブレターを書くには、自分を見定めるのと、対象を見定めるのと、自分と対象との間に関係があって、その関係がどういう意味を持つかということを把握して、しかもそれに希望的観測を付け加えるっていうことをしなくちゃいけない。

平明(P98)

自分がなにかを書こうとする。観察の仕方、ものの見方に均衡を欠く部分があるんじゃないかとたえず問い続ける。単純に大勢に従うことなく、さまざまな見方を吟味してみる。社会の通念を疑ってみる。複数の目でものごとを見る訓練をする。そういう営みこそが、文章を磨くことになり、文章を磨くことこそが、日本人の均衡ぎらいを和らげる自然治癒力になる、と私は思っています。

均衡(P128)

文章を書くうえで大切なことの一つは、この異質なものとの出会いを楽しむ心ではないかと思います。異質なものと出会いを楽しむ術を身につけるにはどうしたらいいのか。(中略)さまざまな方法がありますが、ひとつの方法は、歩くことでしょう。

遊び(P144)

細部へのこだわりを大切にしたい。細部だけを書きつらねればいいというものではありませんが、細部をいい加減にした文章はうそを書きやすい。

具体性(P151)

文章の品格というものは技術を超えたところにあります。文章技術はもちろん大切です。が、それだけでは「品格」という巨大なものを肩に担ぐわけにはいかない。人間全体の力が充実しないと、肩にかつぐことはできないもののようです。

品格(P175)

3  整正新選流

最後のパートは表現上の心構えについです。
整えること
正確
新鮮
選ぶこと
流れ
の5つのテーマで「整正新選流」としています。

文の長さは個人差があります。自分の呼吸にあった長さを工夫するのがいちばんですが、平明な文章を目指す場合は、より長い文より、みり短い文を心がけたほうがいい。

整える(P178)

十把一絡げの考え方になじめばなじむほど、文章は一見、切れ味が鋭くなります。が、それは危険なことです。一見、切れ味が鋭い文章は、実は正確さを犠牲にしている場合が少なくはありません。

正確(P196)

紋切型の表現の底には、紋切り型の感受性、紋切型のものの見方、紋切り型の生き方があります。私たちの心、私たちの生き方には、どうしようもなく「紋切型」という名の垢がこびりついてしまうのです。ですからよけいに、垢には敏感になりましょう。そして自分の文章の垢にも。

新鮮(P211)

何を選び、何を削るのか、で格闘を続ける。そこに、文章を書くときのたのしさも、おぞましさも、高揚も、つらさもあります。何かを選び、何かを削る。そこには結局、あなた自身のものの見方、生き方、世の中についての見方が現れます。文は心なのです。

選ぶ(P222)

まとめ

大事だと思ったところに付箋をつけながら読んでいましたが、付箋だらけになってしまいました。


付箋だらけです

今後、文章を書くうえで座右の書としたいと思います。
興味ある方はぜひ読んでみてください。


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