ブランド・ポートフォリオとは〜マーケティング・マネジメント第16版を読む
ブランディング第6回は、ブランド・ポートフォリオです。
一つの商品・サービスのみを扱っているとポートフォリオという考え自体持つ必要はありません。異なるカテゴリーやターゲット顧客に対して複数製品を展開している、もしくは将来的に展開する見込みという場合にはブランド名を共通にするのか違うものにするのか決めなくてはなりません。
日本酒ブランドの「獺祭」は大吟醸酒で非常に人気となり世界でも高値で販売されているプレミアムブランドです。
「獺祭」ブランドは認知度も非常に高いですが、「獺祭」のチョコレートやアイスクリームまで展開しているのをご存知でしょうか?
吟醸酒とチョコレートだと全く違う商品カテゴリーに見えます。
しかし、大人向けの高級品市場ということで「獺祭」が強いブランド力が生かされると判断し商品展開されたのだと推察します。
「獺祭」のように同じブランドを活用することでブランド価値を高められるケースはいいですが、そうでなく元々のブランドイメージを毀損してしまいかねない場合も想定しなくてはなりません。さまざまな状況を長期的な視点での市場価値を最大化させるためにブランドの組み合わせを考えることがブランド・ポートフォリオです。
ブランド・ポートフォリオとは
できるだけ多くの顧客ターゲットにたいして取りこぼすことなく、なおかつ、ブランド間で顧客を取り合うことなく組み立てられたもの。それが、ブランド・ポートフォリオです。
ブランド・ポートフォリオ戦略には、3つあります。
ハウス・オブ・ブランド戦略
それぞれの製品に別々のブランド名をつけるものです。化粧品やお菓子などのメーカーが多く採用しています。例えば、ロート製薬はさまざまなカテゴリーに製品を展開しているのでそれぞれのブランドが独立しています。
ハウス・オブ・ブランド戦略の利点は他の製品の評判が別の製品の評判に影響を与えることが少ないという点です。
ブランデッド・ハウス戦略
企業名や企業のブランドネームを全製品の冠にしています。
例えば、Google は、Googleレンズ、Googleアース、Googleフォトなど自社製品にGoogleのブランドネームを冠しています。
メーカーの知名度が高いと、それだけ信頼感も高まり新商品の普及を早めることが期待でき、それぞれの商品の評判の蓄積がブランド力の強化につながるということが利点です。
サブ・ブランド戦略
企業ブランドと個別製品のブランドを合わせたものでハイブリッド戦略とも言われます。ホンダやトヨタなどはこの戦略を採用しています。レクサスは、トヨタブランドの傘から外すことで高級車市場への開拓をしたことは有名です。
ハウス・オブ・ブランドとブランデッドハウスは両極にあるといえ、サブ・ブランドはその中間に位置する戦略といえます。
まとめ
ブランド・ポートフォリをとは何か?と、主な3つの戦略についてご説明しました。
ブランド・エクイティを構築するために、現在と将来の自社製品のポートフォリオとブランド戦略を密接に絡ませながら考える必要があることがご理解いただけたと思います。
まず、初期にあたっては企業ブランドもしくは主要製品ブランドの強化から始ます。そして、その先のビジョンも見据えておけばスムースなブランド展開が可能となるでしょう。
最後までお読みいただき有難うございました。
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